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最強の魔王を倒したのは異世界転生者ですか? いいえ、通りすがりの冒険者です  作者: 山下愁
第5話:楽しいダンジョン攻略

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【Ⅰ】ダンジョン? だんじょん!

「だんじょん?」

「ユウ坊、ちょっと間抜けに聞こえるからもう少し真面目に言ってみろ」

「だんじょん!!」

「無駄だったな、もういいわ」



 冒険者ギルドにて仕事を受けようかとしていた矢先のこと、ユウとゼノが受付嬢から聞かされた話の内容は『ダンジョン』とやらが近くに出来てしまったとのことだった。


 ユウは『ダンジョン』の響きが気に入り、ひたすら「だんじょん、だんじょん」と騒いでいる。そのすぐ側で、ゼノは受付嬢へ話の続きを促した。



「で、そのダンジョンとやらは一体何なんだ?」

「はい。ダンジョンとは、いわゆる魔物の巣窟ですね。魔物の軍団が住処を作ってしまうので、ダンジョンが作られたらすぐに攻略することが推奨されています」



 受付嬢はあまり抑揚のない平坦な声で、ゼノにダンジョンの説明をした。


 ゼノは「ふーん」と呟くと、



「ユウ坊、魔物の住処だって。行ってみたいよな?」

「まもの?」

「ゴブリンとかいっぱいいる場所」

「ごぶりん!? ぼく倒すよ!! たくさん倒すよ!!」



 ゴブリンと聞いて、ユウの瞳に闘志の炎が灯る。夕食を邪魔された恨みはまだ晴れないらしい。


 ユウのやる気を確認したゼノは「よし」と頷くと、受付嬢と交渉を開始する。



「それってアタシらも受けられるのか? この前みたいに断られるとかねェか?」

「はい、問題ありません」



 意外にも、受付嬢の返答は是だった。

 昨日、冒険者ギルドを訪れた際には「受けられる仕事はありません」と突っぱねられたが、ダンジョンを攻略する仕事はレベルが関係ないらしい。


 断られるかと思っていたゼノは一瞬だけ拍子抜けしたような表情を浮かべるが、再び「だんじょん、だんじょん」と踊り始めたユウを呼んだ。


 並大抵の職人では作成できない繊細な意匠の長杖ロッドを掲げながら変な踊りを披露するユウは、ゼノに呼ばれて踊りを中断して「なぁに?」と応じる。



「ユウ坊、ダンジョンの攻略には参加していいんだってよ。参加するか?」

「うん! ぼく、ごぶりんたくさん倒すよ!!」

「ゴブリンだけがいるとは限らねえがな」



 ゼノがゴブリンの討伐に対して意欲を見せるユウの頭を撫でると、



「アタシらもそのダンジョン攻略とやらに参加する。どうすりゃいい?」

「それでは南門へ向かってください。ダンジョン攻略はレイドパーティで行いますので、他の冒険者の方に詳細をお尋ねください」

「説明雑だな」

「朝から三五回も同じような説明をいたしましたので、さすがに億劫になってきています」



 すでにやる気のない受付嬢からこれ以上の話を聞くことをやめ、ユウとゼノはダンジョン攻略の為に集まっている冒険者たちのもとへ向かうことにした。


 その間、ユウは「だんじょん、だんじょーん」と長杖を振り回しながら、ダンジョンの歌を自作して歌っていた。


 ☆


 ウィラニアの南門までやってくると、すでに老若男女の冒険者がたくさん集まっていた。


 誰も彼も腕利きの冒険者のようで、積極的にこれから向かうダンジョンについての情報交換をしている。中には装備品を自慢する冒険者もいて、仕事が始まるまでの間、思い思いに過ごしていた。



「凄いいるねぇ」

「そうだな」

「みんなでだんじょん行くの?」

「そうみたいだな」



 ユウは大人数で冒険者の仕事へ行くことに期待を抱いた。

 昨日は「仕事などない」と突っぱねられたが、今日はダンジョン攻略という仕事があってよかった。


 早く仕事が始まらないかとわくわくした様子で待っているユウに、どこからか聞き覚えのある少女の声で「ユウさん!!」と名前を呼ばれる。


 パッと顔を上げれば、見慣れた茶色の髪の毛と翡翠色の瞳を持つ治癒師ヒーラーの少女――ミザリーが朗らかな笑顔を浮かべて手を振っていた。彼女もここにいるということは、ダンジョン攻略に参加するのだろうか。



「ユウさんとゼノさんもダンジョン攻略に参加なされるのですね。よかったぁ、お二人はとてもお強いので頼りになります」

「まあ、ダンジョン攻略は初めてなんだけどな。頼りになるかどうか分からねェが」



 嬉しそうに言うミザリーに、ゼノは肩を竦めて応じる。


 ユウもゼノも、ダンジョン攻略は初めてだった。

 だからダンジョンがどういうものか分からないし、勝手も分からないので下手に暴れることは出来ない。もし狭いところであれば、ユウの魔法では簡単に吹き飛んでしまう可能性もある。


 ミザリーは「それでも頼りになりますよ」と期待を込めて言うので、ユウは胸を張って答える。



「おまかせです!! ぼく、魔法が得意だから!!」

「そう言って、仲間まで吹き飛ばさないことね」



 ミザリーのすぐ側から意地悪な言葉が聞こえてきて、ユウはムッと唇を尖らせる。


 治癒師の少女の後ろから、軽鎧を纏った少女が腕を組んだ状態で顔を覗かせる。

 色素の薄い茶色の瞳でジロリとユウを睨みつけると、少女は「何よ」と不機嫌そうに言う。


 ユウはそんな少女を指差して、



「あー、意地悪なおねーさんだ」

「本当だな。仲直りしたのか?」

「べ、別に喧嘩なんかしてないわよ!!」



 少女は頬を赤く染めて叫ぶ。それからすぐにそっぽを向いてしまった。


 ミザリーは軽鎧の少女の背中を前に押すと、



「彼女はシュラ・アトランタちゃんです。私とシュラちゃん、パーティ組んだんですよ。よろしければお二人も一緒に組みませんか?」

「ちょ、ちょっと!! 余計なことを言ってんじゃないわよ!!」



 軽鎧の少女――シュラ・アトランタはミザリーに向かって怒鳴るが、ユウとゼノからすれば願ってもいない申し出である。


 二人して「よろしくお願いします!!」「よろしく頼むわ」と応じると、シュラは疲れたようにため息を吐いた。

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