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『フジ グリーンティー』

作者: ササキ

クリーム色の壁を見ている。


あと2ヶ月もすれば、私も次の人に取って代わられるだろう。


2週間前にこの場所に越してきてから、ずっと同じ場所にいる。


同じ場所で世界中の仲間たちと連絡を取りながら、任務の時を待っている。



いつの間にか景色が変わり、水の音が聞こえ始めた。


人が入ってきたようだ。


今日の任務が始まる。


どんどんと部屋の温度が上がっていき、体中に汗をかく。


私は、それと一緒に泡を吹く。


ぷくぷくぷく。


水の音が一瞬止まり、また同じように聞こえ始める。


任務成功だ。


この一瞬の注意を逸らしたことで、隣の部屋の蛇口の勢いが強くなるだろう。


隣の部屋の主はいつもより早く手を洗い終わり、いつもより早く海外の恋人とビデオチャットを始めるだろう。


海外の恋人はいつもより長く恋人と話すことができ、満足した気持ちで深い眠りにつくことで、明日の消防士としての仕事のパフォーマンスを向上させるだろう。


そしてパワフルな消防士の働きで、明日のある地区での火事による死傷者はゼロになるだろう。



消防士の側にいる私の仲間に連絡を取る。


シャワーを浴びている消防士は、満足気な表情をしているようだ。


仲間も今から泡を吹くようだ。


絶妙なタイミングで泡を吹くことで、誰かの平和を保つのだろう。


日々の生活の裏で、私達は平和を目指し暗躍している。


私達の名前はフジグリーンティー。


世界平和を目指し暗躍するシャンプーだ。


シャンプーって、冬に寒暖差で容器の隙間から泡吹きますよね。

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― 新着の感想 ―
[一言] シャンプーですか〜^_^
2023/04/27 23:12 退会済み
管理
[一言] フジグリーンティーというタイトルから、シャンプーの話だと気がついた読者さんは、どれくらいいらっしゃるのか地味に気になります。そしていまだ私はシャワージェルという言葉が使えず、ボディソープと言…
[一言] 童話でハードボイルドって何だろうと思いながら読み始めました。 そしたら! なんと! いやはや、これは確かにハードボイルド。 寿命が許す限り任務の遂行に全力投球し続ける職人の物語ですわ。 …
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