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○ンポはいれるものじゃない、握るものだ。

「どうしてこうなったんだ…」


大量のカメラと人。それらの視界の中には俺と全裸の男二人だけが写っていた。


遡ること数時間前。俺はいつものように朝7時に起き仕事へ向かうため、電車に乗った。ドアの閉まる音と同時に、携帯が揺れた。自分に電話を掛ける人間は一人しかいないと思いつつ、カバンから携帯を取り出すと、予想通り、母親だった。


「もしもし。今電車だから後で掛け直すよ。」


めんどくさいな、と思いつつ電話を切ろうとしたその瞬間、母親が声を上げた。


「浩一、大変なの!お父さんの会社が、お父さんが…!」


ヒステリックな声が電車の中に響いた。


「母さん?どうしたんだ急に。」


電話より周りの目の方が気になる。誰にも目を合わせないように下を向いて電話を続けた。


「父さんがどうしたの?」


母親に問いただした。


「父さんの会社が潰れたのよ!」


突然の告白に身体が固まる。父さんの会社が?


「しかもお偉いさんはみんな借金取りから逃げて責任を全部お父さんになすりつけたの!!」


そんな事が実在するのか…と思ったが父さんの安否を確認しなければ。


「父さんは?父さんはどうしたの?」


「…」


母さんは暫く黙り、ガタンゴトンと電車の揺れる音だけが聞こえる。


「…父さんもね、いなくなっちゃった。」


衝撃の事実に驚きを隠せない。


「だから借金取りが父さんを探してるの。浩一のところに来るかも知れないから気をつけてね…」


何も言わず電話を切った。借金取りが来るかもしれない。父さんの安否なんかよりもずっと恐怖に感じた。

「…逃げよう」


直ぐに決意が固まり、前を向いた。すると、目の前には、黒服の大男が3人こちらを見て立っていた。


「おたく、田所さんで間違いないですね?」


真ん中の男が言った。


「え…」


言葉を詰まらした瞬間、男達が一斉に飛びかかってきた。


「嫌だ、誰か助けてくれ!」


さっきまでいたはずの人間は誰もいない。


「三人に勝てる訳ないだろ!覚悟決めろ。」


取り押さえられ、身動きが取れなくなった後、俺は何かの液体を無理やり口に入れられた。


「やべぇよ……やべぇよ……」


恐怖に包まれながら俺は眠りについた。


目を覚ますと俺はダブルベッドの上で横になっていた。ここはどこだ?なぜか周りには大量のカメラがある。


「入って、どうぞ」


誰かの声とドアの開ける音が聞こえた。

急いで隠れようとするが身体が思うように動かず廊下から現れた裸のマッチョな男に見つかってしまう。


「いいカラダしてんねぇ!」


訳がわからない。急いで起き上がり逃げようとしたその時、見覚えのある黒服の大男が現れた。


「やっと起きたか。おたくに恨みはないが金はきっちりと返してもらう。」


「ふざけんな!」


声が部屋中に鳴り響いたが彼らは動じなかった。


「あのさぁ…借りた金を返すってのは、当たり前だよなぁ?」


何も言い返せなかった。


「大丈夫だって安心しろよ~、お前は金を返さなくてもいい、だが、代わりにやってもらうことがある。」


いい予感はしない。


「ここに裸のマッチョがいるだろ?こいつとヤってもらう。」


「そんなことでいいんですか?」


金を出すことより辛いことはないと思い咄嗟に答えてしまったが、やはりヤバい。


「そうだよ。そんなことでいいんだよ。」


焦りで貞操観念が狂った俺は


「わかりましたよ、やりますよ。」


と答えた。俺は自らの穴を差し出した。


「馬鹿野郎、まずは前戯からだ。」


そう言われると、マッチョな男がパンツをぬぎ、極太の竿を引き抜く。他の男がどれくらい大きいのかはわからないが彼が大きいというのは一目瞭然だ。


「ところでこのカメラは…?」


ずっと気になっていたことについて問う。


「あぁ、これか。お前が主役のゲイビデオを撮るんだ。」

「は…?」


「中小企業の平社員じゃ手取り12万前後だろ?それなら体で払ってもらおうと思ってな。」


ふざけやがって、俺の手取りは13万2000だ。二度と間違えるなくそが、と思いつつこの状況を打開する方法を考えていた時、


「舐めろ」


とマッチョの男が竿を俺の顔の前に持ってきた。自分のとは比べ物にならない臭いを放っていた。


このビデオが世に広まれば会社は確実にクビ、周りからは語録を作られてネタにされ死ぬまでこの業界で生きていくんだろうな…と思いつつ彼の竿に手を伸ばし、握った。


その瞬間、彼の竿と一緒にぶら下がっている二つの †物語の生まれし人類の源† が輝きを放った。


「な、なんだ!?」


突然の出来事に全員が困惑した。


「目がああぁあ、目がああぁああ!」


マッチョが突然悶えた。どうやら俺のコンタクトレンズの反射光で某大佐のように目がかなり重症らしい。


「目がああぁああ、目がああぁあああ!」


当然、俺のコンタクトレンズに反射光があれば屈折光もある。俺もその場で悶え苦しんだ。


それからどのくらい時が経ったのだろうか。手に残った色々きつい臭いは消え、しだいに植物の青臭いにおいを感じ、目を開けると当たり一面に草原が広がっていた。


「どこだ…ここ…」


どうやら俺は、異世界へ転生、というものをしてしまったらしい。

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