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6話 名前を付けてもらいました

のんびりと4人と話しながら歩く。話しながらと言っても向こうが聞いてくるだけだしこっちは話せないわけだけど。


「ねぇ、缶さん、あなたはさっきのランベルの花の匂い以外に出せるものはあるの?」

メルタが聞いてきた。

Q&Aの感じだとあらゆる物質を出すことができるらしいので割と自由に色々出すことができる。さて、何にしようか。霧状になって出てくるので、ジュースとか出してもぶっちゃけよくわからない。かかった人がベタベタになるだけだろうし。

少し悩んだ後、 思いつきで石鹸液を入れてみた。もしかしていい感じになるんじゃないだろうか。

中身を出してみると沢山のシャボン玉が空に舞う、おお、成功だ。いくら吹いても途切れない、これは楽しい。

「おお、マジックバブルの魔法か。こいつ、魔法も出せるのか?」

「いえ、これはただの泡だと思います。石鹸の入ったただの水ではないでしょうか……この水に溶けている石鹸、貴族が使ったりする高いやつですね…」

リールの目が光った後、少し驚いたように言う。

そういえば今日の石鹸を誰でも使えるようになったのって意外と新しいんだっけ?昔の石鹸はそれなりに高級だったと授業でハゲた先生が言ってた気がする。寝てたからよく覚えてないけど。


「あなたは攻撃は出来ないの?」

ティアが質問して来る。

「ああ、確かに言われてみると気になるな。どうなんだ?缶さん。」

…なんか缶さんが名前みたいになってないかな?

「缶さんという名前は不服みたいですよ、テオ。」

「…確かにそんな視線を感じた気がする」

目はついてないよー。見えてるけど。

「じゃあ何か名前をつけるか…何かないか?」

「そうねぇ…ジャガイモ炒めとかどうかしら?」

メルタが言う、どういう考えのもとでスプレー缶の名前をジャガイモ炒めにしようと思ったんだ。それは嫌だ。

「毎回思うがお前は名前のセンスが壊滅すぎる。っていうかどこからジャガイモ炒めが出てきたんだ」

「えー、いいじゃない。ジャガイモ炒め、いい響きで」

「残念ながらそのセンスが理解されるのは1000年後くらいになりそうです。そうですね…超重力ハンドクラッシャー改とかどうでしょうか。」

こういうやつがダークリヴァイアサンMk-Ⅱとか名付けるんだろうか。そんな名前をつけられたら僕は生きていけない、心底勘弁してほしい助けて。

「お前らのネーミングセンスは正直違いがわからないんだが…」

「失礼ね、私はリールみたいなアホなネーミングセンスはしてないわよ!」

「貴重な道具にジャガイモ炒めなどというような名前をつけるメルタなどと一緒にされるのは心外です。」

いや、どっちも一緒だと思う。

「そうだわ、缶さんにどっちがいいか決めてもらいましょうよ」

「そうですね、缶さん、ジャガイモ炒めか超重力ハンドクラッシャー改、もちろん超重力ハンドクラッシャー改の方がいいですよね?」

超重力どこからきたんだ、ハンドクラッシャーどこからきたんだ、改があるなら初代があったのか、この世界にはちゃんとしたネーミングセンスをした人はいないのか。とりあえずどちらになられても困るので、スプレーにタバスコを入れて2人の顔に噴射した。あ、これ攻撃が出来るって言うんじゃない?

「きゃああぁぁ!?顔が!?焼ける!?」

「うわああぁっ!何ですか今出したものは!?」

2人がのたうちまわってるのはさておき、テオに視線を向ける。お願い助けて。

「ま、まあ待て。そうだ、ポット、ポットっていうのはどうだ?色々なものを出せる瓶っていうことで。」

瓶じゃなくて缶だけどポットっていう名前はそれなりにいいと思う。うん、それで決まりだ。


(自分の名前を:ポット:にしますか?)


ん?システムメッセージだろうか。こんな感じに名前って登録できるのか、もちろんはい、ってあれ?これシステムウィンドウを持たない普通の人ってどうやって名前を付けてるんだ?

Q.普通の人はどうやって名前を付けてるの?

A.基本的にみんなに呼ばれている名前か、自分で付けた名前が定着します。ただし、本人が拒否している場合はその名前に定着はしません。

なるほど、勝手に嫌な名前を付けられてもそれで定着したりはしないのか。


(名前を:ポット:に定着させました)


テオに合図を送る。

「この感じは、ポットで気に入ってくれたのか?助かった。」

テオは胸をなでおろす、何で助かったなんだ?ああ、変な名前だと自分にもタバスコが飛んで来ると思ってたのか。人にタバスコをかけるなんてそんな酷いこと誰がするというんだ。失礼だな。

「じゃ、テオ、ポットさん、行きましょうか。もうすぐ町に着くわよ!」

ティアが遠くの方を指差す。うっすらとだけど、家の影が見える。

「おぉ、そうだな。じゃあポットさん。行くぞ!」

あ、さんは相変わらず付けて呼ぶのか、別にいいけど。




「ちょ、ちょっと待って…!私たちを置いてかないで…!」

「このパーティーに回復役を所望します…!め、目が開かなくてポーションがどこにあるか…」


あ、そういえば忘れてた。

少し実験してみたいことがあるからちょっと試してみる。中身にポーションを入れられないか試してみよう。

中身を変更、ポーションに変更…あれ、出来ない。あらゆる物質をセットできるんじゃないの?


Q.物質がセット出来ないんだけど…

A.その物質を見たことがない、その物質に対する知識がないなどの理由で自分の中でイメージできない等の可能性が考えられます。漠然と『回復する薬をセットする』等ではダメなのでお気を付けください。


なるほど、簡単に言うとこの世界のポーションがどんなものかイメージ出来ないからセット出来ないみたいだ。ポーションがリールのカバンに入ってるってさっき言ってたな。ちょっと探ってみよう。

目を閉じたままカバンを漁っているリールを脇に退けて鞄の中に首を突っ込む。ん、これがポーション?鮮やかな緑とも青ともいえない色をしている。こんな感じか…イメージイメージ、セット、ポーション。出来た!ポーションが設定できている。

これをリールとメルタに噴射、…えっ!?凄まじい勢いで何かが持っていかれる感覚がある。これは…MPの消耗?流石に早すぎない!?

2人に少し吹きかけただけで完全に力尽きた。全く力が入らない。コテンと地面に転がる。

ぼんやりと設定画面を開いてみる


現在の中身:レベル5ポーション

消費量:500MP/秒


えっ…500MP?殺虫剤の50倍?凄まじい消費量だ…調合薬ってこんなにMPを使っちゃうの?っていうかレベル5ってなに?よくわからないけどもう動ける気がしない。なんか頭の中もぼんやりする。しばらく…休んでいよう。



「あ…あれ?痛みが引いていった?」

「ねえ!?ポットさん、大丈夫!?」

「ポットさんが何かしたの?」

「何かを2人に噴射したあと、突然動かなくなっちゃって…」

「ひどい目にあった…、この回復の感じは、レベル5のポーションによる回復ですかね」

「そういえば、お前のカバンにポットさんが頭を突っ込んでいたな。」

「…でも僕のレベル5ポーションは使われていないみたいですよ」

「じゃあこいつが自分で持ってたとかか?しかし…欠損以外の大怪我なら一発で治療可能な程の強力なポーションだぞ?現に俺らも緊急用に1人1本携帯しているだけだ。」

「とても高価だから普通の冒険者は買うことすらできないと思うわよ。…もしかしてポットさんはMPみたいなのを使って中身を作ってるとか?」

「あー、ありそうですね。突然動かなくなったのはMP切れの症状とかそんな感じかもしれません。」

「人間ならMP切れかどうか判断できるんだけどね…どうにも缶だと分からないわ」

「とりあえず町まで連れて行きましょう。MP切れならしばらくすれば復活するでしょう。」

「…しかし、その気になればそんな貴重な薬を出したりもできるのか。こいつはなかなか恐ろしいな。」

「まあ、仲良くしてくれてるみたいだし、下手に怒らせなければ大丈夫よ、きっと」

「さっき顔にやばいものを吹きかけられたんだけど、本当に大丈夫なのかしら…」

「まあ…自分の身を呈して治してくれましたし、大丈夫じゃないですかね。」

「…とりあえず、目が覚めたら少しは丁寧に扱うか。」

「ちょっと待って、じゃあこんな適当な運び方じゃ駄目ね。ポーチに毛布が入ってたはず…」

「あんまり適当な運び方だと揺らしてしまうかも知れません、ティアさん、確かポーチに…」

「それだと窮屈かもしれないぞ。これはこう…」




しばらく経ったのだろうか。

目が覚めたらなぜか担架みたいなのに乗せられて毛布をかけられて運ばれていた。

何をやっているのだろうか…


「流石にこんな丁寧な必要はなくない?」

「…確かに、逆に失礼な気がしてきた。」

一応道具なんだから適当に扱ってもいいのに。

暫く間が空いてしまって申し訳ありません。


ちょっとふざけた感じの回でした。

僕がキャラを考えるときはどこか弱点を作りたい性質なので、ついついその辺を叩きたくなってしまいます。

あんまりかっこつけたキャラばっかりだと、逆にかっこよくない気がするので…、普段かっこ悪いキャラが突然かっこいいことした方がかっこよくないですか?

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