1話 女神様に謝罪されました
スライムは追いかけてこなかったみたいだけど僕の体がぷかぷかと浮いている。クラムボンではない。
このままだとよくない。そもそもさっきいたスライムみたいな生き物はなんなのだろうか。
(ちょっと信じられないけど…異世界?)
正直疑い深すぎるけど、地球にスライムがいた記憶がない。でももしいたら凄いな、きっと新種だから僕の名前がつけられるかも。
僕がスプレー缶になっているのも理解できない。俗に言う異世界転生って感じのノリを感じる
そんな事を思いながら池に浮いていると、突然水から何かが出てきた。
(これは…サメ?)
そう思った時には。僕はサメに飲み込まれていた。
完。
まだ続くけど。
気がつくと、僕は目が覚めていた。
別にループしてるわけでも間違えて更新ボタンを押したわけでもないから安心してもらいたい。
さっきとは違う白いところにいる。
あと目の前に人の形をした光がある。
その光がこちらに話しかけてきた。
「申し訳ありません!こちらのミスで突然転生させてしまって。」
「…はい?、えーと、どういうことでしょうか」
「私はこの世界の神様です。アーシラリス・フィアといいます。」
「あ、いえ、名前ではなくて。なんでここに来たかという話なんですが…」
「はい、そのことなんですが、実は…」
「大変!私の世界の因果律が崩れそうになっているわ!このままじゃ大変。とにかく直さないと、干渉ゲートを開いて…ちょっと悪いけど、よその世界から因果律を頂戴してしまいましょう。」
その時、棚においてあったスプレー缶がバランスを崩して干渉ゲートの中に落下していく。
「きゃあっ!大変だわ!世界のバランスが歪んじゃう!あっ、よその世界との境界が狂って…」
――――
「で、あなたの魂がスプレー缶に移ったままこちらの世界に転生してしまったのです。」
「いや…えぇ…」
意味が分からなくて頭を抱えるしかない。
つまり、この女神様はこっちの世界のミスを勝手に外の世界に押し付けようとした挙句に失敗して僕をこの世界に持ってきてしまった、しかもスプレー缶もおまけで、いやこの場合スプレー缶が本体で僕の精神部分がおまけである、スプレー缶に負けてる感じがして正直とても悲しい。
「本当に申し訳ありません、しかもこの世界の因果律の崩壊は既に収まってしまっています。あなたを元の世界に戻す事もできないのです。」
「そんな…家族とか学校とかどうしたらいいんですか…」
「今から5秒間だけメッセージを残しますのでその間にお別れの挨拶だけでも伝えてあげてください…スタート」<ピッ>
「えっ!…えーと…学校の皆、お母さん、お父さん、そしてペットのポロ。僕はアホ<ピッ>女神様のせいで『はい終了ですありがとうございました』異世界に…って凄く中途半端なところで止められたんですが!?これだと単に僕がアホだって前世の知り合いにに公表してるかのような文章に!」
「申し訳ありません本当に…」
「反省してないでしょう!?あなた実は!?」
「当然形だけの謝罪で済ますつもりはありません。あなたの助けになるものをお詫びのしるしとして差し上げたいと考えています。」
そう言われてしまうと強く出られない。
「うっ…まぁそういうことなら…多少は…」
「あなたが欲しいものを3つ、あなたに差し上げましょう。それでなんとか…」
「…5つではダメですか?」
「えっ…5つですか…。」
「じゃあ4つで…」
「…わかりました、4つでいいですよ。」
やった。