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13話 戦いが起こりました

「ポットが走って行っちゃいましたよ。」

「戦うのかと思っていたが…何かを探しに行ったのか?」

「ちょっと!2人があいつに突っ込んで行ってるわ!」

ミランとジェルマン(ギルドマスター)の2人がデスキラータイガーに向かって走って行く。


2人に気がついたデスキラータイガーが唸る。2人がデスキラータイガーと対峙する。少しの静寂、先に動いたのはミランだった。

「ブラストサンダー!」

ミランの手から雷が飛び出す。デスキラータイガーがそれをヒョイと飛んで避ける、地面に雷が当たって地面が黒く焦げる、地面に着地するやいなやデスキラータイガーはミランに真っ直ぐ体当たりしてきた。

「動きが単調じゃぞ!」

ジェルマンが間に割り込み杖で受け流す。結構な勢いで突撃してきていたが、デスキラータイガーはさらりと受け流されてしまった。

「チャンスだ!サンダースフィア!」

すかさずミランが魔法を唱える、デスキラータイガーが雷の球に包まれた。電撃が周囲を駆け巡り、デスキラータイガーは雷に包まれる。


「ほう、中々やるのお」

「あんまり何度もは使えないんだけどね、まったく、屍人は不便なんだよ」

ミランが右手をひらひらと振ってみせる、その手は真っ黒に焦げ付いてしまっていた。

「こうなっちまうとしばらくは治んないから、魔法は苦手なんだ。」

「ほう、…やっぱりまだまだ元気なようじゃぞ」

光が収まった先を目で追ったジェルマンがそう告げる。

「あの程度で倒せるんだったらAランクなんて呼ばれてないさ、さて、ここからどうするかね」


ミランの魔法を直撃で受けたデスキラータイガーは、表面こそわずかに焦げて煙が出てはいるが、ほとんど健在な状態で立っていた。


デスキラータイガーが吠える。

それは月まで届くような響きで、大地を震わせた。石で舗装された地面が痺れ、街を飾る家の一つ一つが泣いているかのように思えた。

ジェルマンが目を細める

「これは…『夜想の号哭』じゃの。使用者の能力値が大幅に上昇する深夜にのみ使える技、だったかの」

「Aランクってのは厄介な技を持ってガハッ!?」

ミランが突如吹き飛ばされる。

デスキラータイガーが地面を蹴り、一瞬でミランに体当たりを仕掛けてきた。

あまりの早さに全くついていけなかったミランはその強烈な体当たりを正面からもらってしまった。

「カハッ…その動きは反則じゃないか…」

デスキラータイガーはミランを足でしっかりと踏みつけている。ミランはそれを押し退けようとするが、戦士でもない力のないミランがその巨体をどかす事は敵わなかった。

「ミラン!危ないぞ!」

ジェルマンがミランに駆け寄るが一歩遅い。

デスキラータイガーは大きく唸り、ミランに牙を突き立てようとした時、突然何かが割れる音がしてデスキラータイガーが大きく仰け反る。

「はは、最後にやってやった…」

ミランの残った左手には割れた薬瓶が握られていた、薬液が自分にも降り注いだのか、ミランの体からは煙が出ている

「ああ、駄目だ。力が切れちまってもう動けない」

ミランは地面に倒れたまま動かない、今の一撃でデスキラータイガーは右目をやられたみたいだったが、まだ十分動いている。

「若いもんを先にやらせはせんぞ!」

ジェルマンがその間に立ちふさがる。デスキラータイガーは大きく吠えて、その太い腕を振った、ジェルマンは杖を大きく振る。

「フィジカルバリア!」

オレンジ色のオーラのような球がジェルマンとミランを覆い、オーラに攻撃したデスキラータイガーの手が跳ね返される。

「む!これはまずいの…」

デスキラータイガーは2度、3度と腕を叩きつける、その衝撃でフィジカルバリアが割れ始めている。

「これ以上は持たぬ…」

「それだけあれば十分だ!メルタ!」

突然叫び声が聞こえた。

「行くわよ!煌めく太陽の礎に燃え盛れ!サンファイアレイ!」


突然昼間になったような気がした。

空が真っ白に光り、その中心から真っ直ぐ地面に凄まじい熱量を持った光が降りてくる。それは爆発が起きたかと思うような轟音とともに、デスキラータイガーを貫いた。

「はあ…全開で魔力を使うのは久しぶりだわ…」

メルタが疲れたようにへたりと地面に座り込んだ

「それにしても凄いな、これまでで最大の威力だったんじゃないか?」

「『魔力感知』は面白いわね、怖いくらいに魔力が集まってくるのがわかるわ。」

「大丈夫?すごくフラフラしてるけど。」

「魔力切れでだるいわね、多分しばらくは動けないわ」

「無理もありません、あれ程の魔法を放てば普通の人でなくとも卒倒してしまいます。」

「危ないところだったな、しかし流石のやつもあれだけの魔法を食らえば…みんな伏せろ!!」

突然テオが叫ぶ。次の瞬間世界が吹き飛んだような衝撃とともに地面がめくれ上がる。

「きゃっ!」

「うわっ!」

4人が吹き飛ばされそうになるのを必死にこらえる。

「ま、まだ倒せてないの…?」

光と煙の中から現れたデスキラータイガーは体に穴が空き、明らかに弱ってはいるものの、その目には明らかな殺意を湛えていた。

「嘘だろ…?Aランク相当って、どんな化け物なんだよ…」

デスキラータイガーが噛み付いてくる、その死に物狂いの一撃を、ジェルマンは受け流しきれず

「くっ!不覚を取ったか…!」

持っていた杖が弾き飛ばされる。

「お前たち!今すぐ逃げるんじゃ!」

ジェルマンがテオ達4人にそう促すが、

「今更お前達を見捨てられるか!」

「そうよ!それにもうすぐ倒せそうじゃない!みんなで力を合わせればきっと…」

「馬鹿もんがぁっ!」

ジェルマンが突然叫ぶ。

「いけるかもしれない、などという不確定の可能性に命など張ってはならん!お前達は命あってこその未来じゃ、無意味に散らしては…」

デスキラータイガーが体当たりでジェルマンを吹き飛ばす、デスキラータイガーは大きく吠えるとその牙をジェルマンに–––

「させない。」

突如デスキラータイガーの頭に何かが落ちてくる。それは当たった瞬間砕けて、中身が出てくる。途端、デスキラータイガーは突然苦しそうに呻き、身体が生気を失ったようになってべちゃりと倒れた。

「…なんじゃ?突然」

「ポット!」

10mほど上空、ポットがふわふわと浮いていた。

今回は前編後編の同時投稿です。

シリアスな文章は不慣れです…もうちょっと情景描写とかを普段から使って、感情移入しやすいようにしたいですね。

『夜想の号哭』は拡張スキルです。魔物は拡張スキルを初めから持っていたりします。

こういったモンスター用のスキルの扱いって難しいですね…単に噛み付く、引っ掻く、体当たりするだけだと表現が難しい…

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