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12話 敵が攻めてきました。

僕達の眠りは、突然の喧騒で失われた。

はじめに気がついたのはティアだ。

「…?、なんか騒がしくない?」

ティアが目を覚ます、程なくして、テオも起き出してきた。

「おい、外が騒がしいぞ。泥棒でも入ったか?」

「なんか不安ね、どうする?」

ティアの問いかけに、テオが少し考えてから答えた。

「状況がわからないなら下手に動くべきじゃない。かえって現状を悪化させるかも…」

突然外から大声が聞こえてきた。

「て、敵襲だーっ!」

「えっ!?」

「な、なに!?」

2人がうろたえていると、慌てた様子でリールとメルタが入ってきた。

「た、大変ですよ!」

「いま、敵襲って外から…」

「町の中に魔物が入ったらしいわ!」

「な、何だって!」

「どうしてこんなに突然…!?」

メルタの報告に、2人はうろたえる。

「と、とにかく、急いで現場に向かうわよ!」

4人は宿を飛び出した。


え、僕ですか?

タイミングよくリールの鞄に滑り込みました。

敵襲って、大丈夫だろうか…なんだか嫌な予感がする。


「て、てえへんだ!オ、オラの家が!」

「何でこんなところにこんな魔物が…!」

街の人がうろたえている。その脇をテオ達が通り抜ける

「冒険者だ!ちょっと通してくれ!」

「あ、ああ!『蒼い風』の一行か!なんなんだこの魔物は!」

「何って、こいつは…」

そこまで言ってティアは呆然とする。

「おい、まずいぞ…こいつは…」

ポツリとテオがつぶやく。


「緊急災害指定魔物、デスキラータイガーだ…」

?、緊急災害指定魔物?、そんなに大変なものだろうか。緊急ってつくほどだから、相当凶悪な魔物のような感じがするけど。


Q.緊急災害指定魔物って何?

A.対策をとらなければ国が危険に晒される可能性の高い、Aランク相当のチームが対応する魔物の事です。


Aランクってことは…確か『蒼い風』がBランクだよね…ってことはかなり危険な魔物!?


デスキラータイガーと呼ばれた目の前にいる魔物は、見た目は虎に近いが、黒と紫が入り混じったような色で、とても大きく、凶暴な目をしている。確かにこんなものが暴れたら大変なことになりそうだ、少なくともこの街一つくらいは簡単に壊滅するだろう。

「どうする…俺たちでは間違いなく歯が立たないぞ…」

「この街にAランク相当の冒険者はいないの!?」

「こんな辺境の方の町となると、中々高ランクの冒険者はいませんね、恐らくBランクも僕たちだけだと思われます。」

「そ、そんな!?他の冒険者たちは!?」

ティアの叫びにメルタは首を振る。

「とっくに逃げ出したかどこかに閉じこもっているか…無理もないわ、間違いなく普通の冒険者じゃ太刀打ちできない。」

「だれか、戦える人はいないの!?」

「確かギルドマスターが元Aランクだったはずだ。しかしもう相当前の話だろうし、ギルドマスターもチームでの評価だったはずだから…」

そうか、ギルドの評価ってチーム基準だから、個人の強さだけだとAまで届かないケースも多いのか…

「大変なことになっちゃってるね」

後ろから声が聞こえる。その声は…

「ミランさん!?ダメよ、ここは危険よ!」

「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。こんななりでも一応戦えるから」

「ミランさんが戦ってるところなんか見たことないが…ギルドにも登録してないよな?」

「そんなこと言ったらリールだって戦闘はしないだろ?アイテムでの支援がメインなんだから」

「僕はサポーターですから…でもサポーターはレベルが低いですからミランさんがそうならなおさら危険ですよ?」

サポーター?レベルが低い?どういうことなんだろう。


Q.サポーターってどんな役割?この世界のチーム構成ってどうなってるの?

A.一般的にチームは敵の注意を集めるベイター、高火力を出すディーラー、ディーラーを守るサポーターで構成されることが多いです。

サポーターは支援魔法やアイテムでディーラーに危険が及ばないようにする役割になります。

敵に攻撃をしなかった場合、アイテムで敵に攻撃をした場合は経験値が入らないので、一般的にはサポーターはレベルが低くなりやすいです。


なんか難しいな、つまり敵に直接攻撃か魔法でダメージを与えてないと経験値が入らず、そのどちらもしないサポーターはレベルが上がりにくいってこと?何でそんなややこしい仕組みにしたんだろう。


A.貴族などが毒薬やダメージ薬を後ろから投げさせるだけのパワーレベリングを防止するためです。


ああ、そんなに細かい仕組みになってるのか。女神様もどうでもいいところばっかり気にするなあ。

「私はちゃんと魔法も使えるから大丈夫だよ、そんなに心配されるいわれはないさ。」

「そうか、ならいいんだが…」

「そんなことよりお前たちだって危ないよ、Bランクがどうこうなる相手じゃないことくらいわかってるだろうに」

ミランさんの呆れたような言葉に、ティアが返す。

「そうだけど、今この町で一番ランクが高いのは私たちなのよ!私たちが何とかしなくて、どうするのよ!」

「分かりきったことだろう?さっさと逃げた方がいい。」

「そんなこと出来るわけないじゃない!町の人達を見捨てるの!?」

それを聞いたミランさんは真っ直ぐティアを見ると、こう言った。

「ギルドは緊急事態においても冒険者に非常召集をかけたりしないんだ、ただ適性の冒険者に緊急依頼を出すだけ、それはなんでかわかるかい?」

「無駄死にを出すから、ですよね?」

「そうだね、いくら冒険者でも出来ることとできないことがある。それをやるしかないなんて責任感と出来るかもしれないなんて全能感に囚われて、これから成長させていかなければならない冒険者を犠牲にしたくないんだよ。」

「それじゃ、町の人は」

「お前たちが手伝ってくれたところで被害者リストに名前が4つ増えるだけさ、その使命感はAランクの冒険者が持つものだ、今は逃げて生き残った方がいい」

ミランさんがキッパリと言い切る。

「じゃあ、ミランさんはどうするの?」

「私かい?私は馬鹿だからね。ここで逃げたら、これまでの私を否定してるみたいで嫌じゃないか」

そういうと、ミランさんはデスキラータイガーの方を見る。いつのまにか、周りの野次馬はいなくなっていた、みんなここから逃げたのだろうか。

「おい、ミランさん、戦う気か!?」

「これまで町のためにってずっとやって来たからね。今更嘘をついたら、自分を許せないんだよ」

「まって。」

「ポット、すまないね、お前のためにまた何か作るって言ったのに。」

目線も変えずにミランさんがそう返す。どうしよう、何かしないといけない気がするのに、何も浮かばない。

「ほっほ、若いものが先に行かれては、老人の仕事が無くなってしまうわ」

後ろから声が聞こえた、振り向くと、ギルドマスターがこちらに歩いてきていた

「その声はギルドマスターかい?残念だけど、私はそんなに若くないよ。」

「そうかの、だったら若返りの秘訣を教えてもらいたいものじゃ」

「秘訣は無理だけど、秘薬なら作れるかもね。」

「じゃあ、これが終わったら頼むとするかのう。」

「そんなに欲しいんだったら女神様のところでいくらでも作ってあげるさ」

2人はそういうと話を打ち切り、デスキラータイガーに向き直る。

その姿を見て僕は、


僕は、



「やって、やる。」

リールの鞄から飛び出した。

「ポット!?」



不完全ながら体がある。

不完全ながら力がある。

そして、


不完全ながら策がある。

ならばやってみるだけ挑戦だ。


僕は真っ直ぐミランさんの家に走った。

どうか、うまく行ってくれよ。

シリアスな文章が苦手です。

なんか人の感情に雑さが出てしまっているかも…

策も多分大丈夫だけど…大丈夫だよね…?


7時に見てくれている人が多いみたいなので、試験的に6時に投稿してみました、夜型なのでこっちの方が楽なのもあります。

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