9話 ギルドマスターに会いました
「いらっしゃいませ、今日はどのようなご用件でしょうか?」
近くにいた女の人が応対してくれた。
「依頼の達成報告に来た。」
「はい、ミランさんの依頼でしたね。ギルドカードのご提示をお願いします。」
「これでいいか?」
テオがギルドカードを差し出す。そこには『蒼い風』の名前とBランクと銀色の文字で書かれていた。
Bランクってどのくらいの位置付けなんだろう?銀色の文字だし、そこそこのものに見えるけど。
Q.冒険者ギルドのランクってどういう区分になっているの?
A.チームランクは、以下のような分類がなされています。
SS:伝説の英雄クラス、過去に使用された例はない。
S:世界でも有数の実力者に交付される。世界の危機となる魔物を討伐できるチームが基準。
A:非常に優秀なチームに交付される。国が危険に晒される魔物を討伐できるチームが基準。
B:優秀なチームに交付される。都市が危険に晒される魔物を討伐できるチームが基準。
C:平均をおおむね上回っているチームに交付される。特別指定に分類されない魔物をおおむね討伐できるチームが基準。ダンジョンの調査もこのレベルから出来る。
D:平均程度のチームに交付される。ギルド全体でもこのランクが一番人数が多い。ギルドからの依頼を十分こなせるチームが基準。
E:子供で構成されたチームや、平均的なソロチームに交付される。採取依頼や、人探しなどの戦闘が絡まない依頼を十分こなせるチームが基準。
F:ギルド上では実質最低ランク、問題を起こしたチームや、ソロチームの中にはこの分類に所属する人もいる。一定年齢以上の人がギルドの冒険者講習を受けるとEに昇格できる。
冒険者は、冒険者テストを受けて最大Bまでランクが振り分けられます。ただし、15歳に満たないメンバーだけで構成されているチームは、E以上に上がる事はありません。その場合は1人以上が15歳以上になってから、もう一度冒険者テストを受けて振り分けをし直す事ができます。
へぇ…細かく分けられているなあ。子供でもちゃんとギルドに所属できるのか。
「はい…、はい、依頼完了の認証がされました。こちらがミランさんから預かっていた報酬になります。」
トン、とカウンターにお金が入っているらしき革袋と小瓶が置かれる、中にはとても黒い液体が入っている。何だろうこれ、ちょっとアイテム情報を見てみよう。
アイテム:めんつゆ
説明:味付けに便利なめんつゆ。
あっ、これ薬じゃなかった。
「ご用事はそれだけでしょうか?」
「もう一つあってな、回復魔法を使える奴はいるか?」
「えっ…、すいません。実は依頼で怪我人が出たらしく、先程席を外してしまいました。」
「そうか、うーん…困ったな…」
「何が困ったんじゃ?」
後ろの方から声が聞こえた。
「ん?ああ、ギルドマスターじゃない。」
「お久しぶりです。ギルドマスターさん。」
「ほっほ、いいんじゃよ、そんな畏まらないで」
「ますたー?」
「おや?なんじゃこれは」
「旅の途中で見つけたんです。ポットって言うんですよ。」
「ほう、ではわしも自己紹介をしようかの。わしはジェルマン、この街のしがない爺さんをやっておるよ」
「爺さん、ギルドマスターっていう一番重要なことを忘れてるぞ。」
「わしがギルドマスターなんて冗談は言いなさんな、形だけのようなものじゃ」
「こう言ってるけどギルドマスター、すごいのよ!いろんな魔法が使えたり、力もそこらの冒険者には負けないし、しかもとっても賢いんだから!」
「そんなのは昔の話じゃ、今はこの通り、ヨボヨボのお爺さんじゃよ。」
へえ、この人がギルドマスターなんだ。
「よろしく。」
「よろしくの。始めてお主のような物を見た。やっぱり長生きはするものじゃ。お主はどういったことが出来るんじゃ?」
そうだなあ、中身を入れ替える。お酒でも入れてみようか、飲んだことはないから細かいことはわからないけど、お父さんが飲んでた泡が出てくるビールは知ってる。セットして、と。
「おして。」
「ん?ああ、なるほど。ここが押せるようになっておるのか。どれどれ…」
ジェルマンが僕の頭を押し込む。中からプシューッと霧状になったお酒が出てくる。アルコール除菌?ビールだけど。
「む?なんじゃこれは?」
「えーと、『分析』…これはお酒…ですかね。ラガーじゃないでしょうか。」
「ほう、貴族が飲む高級なお酒じゃな。どれ、少しだけ…」
ジェルマンが中身を口の中に出す。
「…ふーむ、わからんのう、水じゃないかの?これは」
「ギルドマスター、お酒全くわからないんじゃなかったかしら?」
「なんでギルドマスターさんってお酒に限って異常に味音痴なんでしょうね。」
「別に味音痴じゃないわい、ちょっとお酒の味が分からないだけじゃ」
「それを味音痴って言うんじゃないのか?ギルドマスター」
ギルドマスターってお酒わからないのか、ちょっと失敗したかな。
「ところでポットよ、体がヘコんでおるがこれは大丈夫なのかの?」
「そうだった、ポットがヘコんじゃったのよ、どうしよう?ギルドマスター」
「回復魔法をかけてやれば治るらしいからギルドの治癒師を借りようと思ってたんだが…」
「なるほど、それなら問題ない。わしが回復してやろう」
ギルドマスター回復魔法使えるのか。
「行くぞ、『エクストラヒール』」
ギルドマスターがそう唱えた途端、僕の体が光って。
ギルド全体が光で埋め尽くされた。
「あぁっ!ギルドマスターまた最大出力で魔法使ったな!」
「ギルドマスターはいつも呪文に躊躇がなさすぎなのよ!」
「ほっほ、どうせやるなら100%の力でやらねば失礼であろう!」
「絶対にオーバーヒール過ぎですってギルドマスターさん!」
「まぶしい。」
ギルドランクの設定はかなり曖昧です。
ギルドランクは「実力」より「実績」にかかわる要素の方が強いため、基本は普通の依頼をこなせるとみなされるDEFにみんないて、それに加え危険から町を守れるなどの確かな「実力」を持つ人たちがそれ以上にいける、みたいな。
ただ、目安の割合が高いので、一般の人々からは「ランク=強さ」という風に計られているため「おれはCランクだけど実力はAランクだからな!」とかいう勘違いバカがいたりもするわけです。
あと、基本的にギルドランクは「チーム」として図られるので、ソロでドラゴン倒せても、チームでドラゴン倒せても与えられるランクは同程度のものになります。まあその辺も「実力」より「実績」を重視する冒険者ギルドだから、という事で。




