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糸し糸しと言ふ心

作者: 色彩

こんにちは。

突然ですが皆さんは初恋を覚えていますか?

甘酸っぱかったですか?

苦くてくるしかったですか?

人それぞれありますよね。

これはその辺によくよく転がっている叶わなかった初恋のお話です。

読んでいただけると嬉しいなあ。

好きな人がいました。


好きな人がいたんです。


初めて芽生えた淡い気持ちが、確かにあったんです。


独りよがりで自分勝手な片想いでしたが、一番きれいな恋でした。



いつの間にか好きになっていました。


このお話の始まりは小学校の高学年まで遡ります。


その人を好きになった瞬間を私は覚えていません。


いつの間にか目でおって、いつの間にか話しかけたくなって、いつの間にか好きになっていました。


自覚してからは猛烈にアタックしました。


アタックしてアタックして、落ち込むようなこともあって、でも好きで好きで仕様がなくて、どんなに泣きそうになってもあの人の近くにいたくて。

あの人が笑ってくれるだけでどれほどの幸福が私を満たしたことか。


まあでも、どれだけ頑張っても報われない事ってありますよね。


結局あの人をふりむかせることもなく小学校時代は幕を閉じたした。


卒業式の日、年の離れた姉に二人だけの写真を撮ってもらいました。

今はどこにあるかわかりません。一体何処にいったのでしょう。見たいなぁ。


中学校は別々になってしまってすごくすっごく悲しかったのを覚えています。離れてから心臓から大事なナニかが少しずつこぼれていくような感じがしました。

一年生の最後の方までそんな思いを感じていたと思います。


二年に上がった頃からは漸く心の傷も浅くなってきて周りを見ることができるようになりました。


ただいい人に巡り会えないのかそういう気にならないのかは定かではないですが、誰かをあのときより好きになることはなかったですね。


3年にもなればそれなりに自分の心をコントロール出来るようにもなり、周りの恋愛沙汰を見ながら穏やかに過ごせてたと思います。


穏やかと言えば聞こえはいいですが、正直に言えば心が凪いでなんの刺激もなくて詰まらなかったです。

前は何でもかんでもがキラキラしてたんですけどね。


それでも漸く前に進めると思いました。

詰まらなくてもまた好きな人がそのうちできたら良いなと。


前向きに考え出した矢先にことが起こりました。


先に結果から言うと前に進めませんでした。


何事もなく中学を卒業して少しレベルの低い高校へ入りました。


小学校の頃の友達なんかもいて嬉しく感じました。

束の間の喜びでしたね。


なんとあの人がいました。


本当に驚きましたよ。私の中であの人はもっと良いところへ行くものだと思っていたので、もう会うことなんてあるはずないと思っていたんですから。


姿を見てあ、まだ好きだなと感じました。


初めは奇跡でも起きたのかと思いましたけど、ちゃんと考えればいたってあり得ることだったんです。

なんせ住んでる地区が近いんですから選ぶ高校も限られるのは当然と言えば当然ですよね。


今思うことは『出来ることならもう二度と会いたくなかった』、なのですが、あのときの私はやはりというべきか喜びました。


だって、仕方ないですよ。初恋の人が目の前にまた現れたんですから。感無量とはこの事ですね。


でも、悲しいこと、というか意外なこと、ですかね。が、ありました。


感無量なんて言いましたけど実はあれ嘘ですごめんなさい。


確かに嬉しかったんですけど、でも前みたいなキラキラは無かったんです。ジクジクと痛いような締め付けられるような、激動というよりは揺れって感じでしたかね。


これが大人になっている、ということならなんとも詰まらないことだと思いました。

小さな頃からの事ですが本当にませていますね。自分の事ながら。


それからクラスは隣になりました。接点は少なかったですが、廊下ですれ違ったり体育の時に一緒になったり視界にはよく入りましたね。これが苦しいような嬉しいような。


勇気を振り絞って話しかけたりもしましたよ。数えられる程度何ですけど。あ、話しかけて笑ってくれたときの幸福感は変わりませんでしたね。幸せの一言につきます。


ですがいやはや、幸せとは長く続かないものですね。

一年の終わりも近い時期、その日の帰りに彼を見かけたんです。

周りの人混みもあったので彼の少し後ろを歩いていました。


彼の隣に女の子がいました。別にそのくらいなら何ともなかったんですけどね。凄く、距離が近かったんですよ。


それでもまだギリギリで気のせいですませられたんです。

暫く見ていたら手を繋いだんです。時間にしたら数秒かもしれないし、希望的観測をすれば見間違いかもしれません。


そんなもの、と思う方もいるかも知れませんが、初恋しか知らない私にとってはそんなものが心の奥深くに響いてしまったんです。


響きはしても衝撃はありませんでした。

奥の奥でジクジクじんじん。鈍い痛みでした。


こう文字で起こしてみると私はいつも当たり前の可能性を忘れていますね。


3年間も離れていたんです。彼に好きな人が、それこそ彼女がいても可笑しいことなんてないんです。


とても、馬鹿馬鹿しいです。


涙は出ませんでした。ただジクジク、ジクジク、胸がいたかったです。


朝起きても、夜寝ても、ジクジク、ジクジク痛かった。


でもきっとすぐにそれもなくなります。昔の思いが風化して、心が凪いだ時みたいに、きっとこの痛みもすぐに無くなります。


それでも、


いずれなくなってしまう痛みだと、いずれ消えてしまう思いなのだとしても、私の人生のなかで初めて感じて思ったことまでも消えてほしくないと願います。




『心の底から、この人のために死にたいと思いました。

子供にしては随分とませた考えかもしれませんが、本当にそう思えたんです。


心の底の奥深く、意識と無意識のちょうど真ん中あたり。


愛しいの意味を、恋しいの意味を、

私は長くて短くて甘くて苦いあの日々で、知ったんです。』



どうでしたか?

よくある話だったでしょう?

共感してくれる人は少ないだろうけれど、経験ある人はいるんじゃないかなぁ。

誰かが作った歌でありますよね、

『好きな人の好きな人になりたい』

これを願ってどれだけの人が枕に涙を隠したんでしょうね。

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