プロローグ2のようなもの
「「「行ってきます」」」
「皆、気をつけていってくるのよー?」
「うん、分かってるよ母さん」
「そうそう、私達だっていつまでも子供じゃないんだし」
「お前らはまだ子供だ」
「なっ!
クズ兄さん如きが僕達を子供扱いするのかい?」
「神羅お兄ちゃんひっどーい!」
ーーーあぁ、妹達よ。
そう言いつつ構ってもらって嬉しそうにするな…鼻血が出る。
「・・・神羅、お前もだからな?
智美行ってくる」
「父さんが喋った…だと!?」
「徹お兄ちゃん、お父さんが喋るといつも驚愕するけど人間なんだから喋るに決まってるでしょ」
「えぇ、行ってらっしゃいあなた。
ほら、あなた達も行ってきなさい」
ーーーこんな風に不器用ながらも頑張って俺をどうにかしていじめられないようにと動く弟達、基本無口なのに人としてやってはいけない事をした時にはしっかりとそれでいて真剣に起こってくれる父、誰よりも早く俺達の異変に気がついて自分の力でやる事をさせつつもどうしてもだめなときは支えてくれる母…そんな優しい家族と過ごす時間は楽しく永遠と続けばいい。
そう思いつつドアを開け、学校へと向かう。
ーーーしかし、俺は知っていたはずだった。この世界はそんな優しくもないし俺が優しい家族にすら隠してる秘密がこの世界にどれだけ不要であるか、そしてそれを暴かれる日がいつか来る事を…
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
神羅たちが家を出てから数分後、富士の樹海に五人組の男女がいた。
「久方ぶりの地上じゃわい」
そう言って腰に手を当てつつ体全体を伸ばす男に近寄り腕を組む女性
「あら、年寄りくさいわよあなた」
青年が刀を掲げつつ獰猛な笑みで言う
「おい、親父!
早く強者と戦いてぇんだが?」
「ちょっと!
五月蝿いわよ?」
「あ”?
姉貴が口答えしてんじゃねぇよ!
俺よか弱いくせによ」
青筋を立てた女性が青年に怒鳴るも青年は逆に姉と呼んだその女性に刀を突きつけ睨み、それを見た最後から着いてきた少女が感情の無い目でそれを見つめる。
「・・・」
「ほらぁ!
あんたのせいで可愛い可愛い妹が縮こまったじゃない!」
「・・・」
「そいつはいつも無口だろうが!」
「これこれ、お前ら兄弟喧嘩はやめんか」
「親父ぃ?
これは俺と姉貴の問題だからアンタは口挟むな」
「そうですよ、父さん。
その臭い口閉じててください」
「く、臭いじゃと!?」
兄弟喧嘩を止めようとするも口撃により轟沈する親父と呼ばれた男性だったが、すぐさま何かに気がついたのか表情を引き締めた。
「こうしている場合ではないのじゃよ、速い所人間共を監視下または眷属化するのじゃ、その為に来たんじゃろう」
そう言って彼が言うとさっきまでのピリピリした空気はなくなった。
「さて、では愚かな人間達に我ら神の力を見せつけ、素質がいいものがおったら眷属化するのじゃぞ?
では解散じゃ!」
パンッと男性が手を叩くと元からその場には誰もいなかったかのように五人組は姿を消していた。