遥か
僕が君に恋をしたのはいつだろうか?
―――それは、成人式。
僕はそんな20歳という区切り目で、“君への想い”を思い出した。
―――●―――○―――●―――○―――●―――
「和穂はさ、今日ヒマ?」
僕は、クラスで友達と話す君を眺めていた。
もともと友達が少ない僕には、君がとても羨ましく思えた。
それは、君がクラスにとって必要な存在だから…。
それは、君が僕にとって必要な存在だったからだった。
そもそも、小学校に入学当初から、君は僕にとってアイドル的存在だった。
僕が君と同じクラスになったのは、1年と2年と5年の3年間。
僕は影の薄い存在だったから、君はどうせ覚えてもいないだろう。
それぐらい僕の存在は小さくて、君の存在は大きかった。
そう、、、
君をアイドルと思っていたのは僕だけじゃなく、学校全体がそうだった。
君は誰が見ても可愛らしかった。
街1つ歩けば、誰もが振り向く存在で、それは高校になっても変わらなかった。
そう、君は気付いていたかな?
僕と君は、中学こそ違ったけれど、高校が同じだったということを…。
僕は、君と高校で出逢えてとても嬉しかった。
君とは結局、同じクラスになることはできなかったけれど、それでもいいんだ。
君の笑顔を時々でも見れたんだから…。
僕は、君をいつも心のどこかで追っていた。
それは、好きだから。
大好きだったから。
君が可愛いというより、綺麗に変わった高校の時。
そうだな、、、
確か、2年の夏だった気がする。
とにかく、それぐらいの時に、君に彼氏がいるという噂を聞いたんだ。
とても悲しかったよ。
けれども、嬉しいとも思えた。
だって、君が幸せになれるんだから…。
君が幸せを掴もうとしているんだから…。
だから、僕は陰ながら応援することにしたんだ。
けれど、その噂は所詮、噂でしかなかった。
そう、君には彼氏がいなかったんだ。
僕は『なぜだろう?』と思った。
昔、君は好きな人がいるということを聞いたことがある。
それも噂だけれど、それが本当ならば、君はその人のことをずっと思っているのかな?
それは誰なんだろう?
僕と同じで、君も片思いをしているんだ。
僕は、少しの時を刻み、理解した。
僕は君の前に立つ勇気はないけれど、君の背中を押すことはできるということを。
―――●―――○―――●―――○―――●―――
けれど、気が付けば時間は早く進んでいた。
成人式、、、
それは、僕を高校以来に君と引き合わせてくれた。
結局、君の背中を押すこともできなかった惨めな僕。
そんな僕の隣には、小学校と中学校が一緒だった晃しかいなかった。
けれど、君は違った。
君の隣には、たくさんの人がいた。
『あぁ、僕もあそこに交じれればいいなぁ』
僕はそう思ってしまった。
だから、僕は君への想いを思い出してしまったんだろう。
『――大好き――』
これは僕が心の中で、君に何度も描いた想い…。
伝えることのできなかった、決して伝えようとしなかった、頑固な汚れ。
けれど、今の僕は、君に向かってこれから言うだろう。
君に向かって、一歩踏み出したんだから…。
~ F ・ I ・ N ~
「終わりなき恋」になんとなく似てる気がする。
いつか続きが書きたいね…。