二人の恋のお話
リクエストいただいたものです^^
では、よろしくお願いします。
よくある街の古本屋。
私はそこに本を買いに行ってみた。
その理由は、学校の宿題で《読書感想文を書け!》っていうのが出たから…。
正直、『高校生にもなって、読書感想文はないっしょ…』って思っている私だけれど、そんな私の気持ちなど、先生は反映してくれるわけがない。
でも、《めんどくさい》とやめてしまうのは私らしくないっていうか、好きではないので、私は仕方なく古本屋に向かうことんしたのだ。
でも、なぜ本屋ではなく古本屋かと言うと、その答えは実に簡単で《お金がないから》であった。
なぜなら、私には親がいない。
去年、両親とも交通事故で死んでしまった。
しかし、私には小学生の妹がいる。
だから、一生懸命バイトして、残り一人の家族を養っているわけだ。
幸いなことに、住む場所はあるし、両親は貯金もしてくれていたので、今のところ窮屈な生活はしていない。
でも、だからと言って贅沢をできるほどの余裕もない。
だから、バイトをして、高校だけは卒業できるように頑張っている。
そういうわけで、古本屋にやってきた私。
『何の本を読もうかな?』
別に学校の図書室で借りるっていうこともできたけれど、今は夏休みではないので、長い間借りることはできないし、買ってしまえば私のものになるので、妹に読ませてあげることもできる。
だから、私は買うことを決めたのだ。
でも、難しい本では妹は理解できないし、私としても、そこまではしたくない。
だから、私は、《ある程度わかりやすく、勉強になる本》を買おうかな?ってことで、本を探すことにした。
何分かして、私は、《これにしよう!》っていう本を決めた。
「すいません、これください!!」
私はそう、店員のおじいちゃんに言うと、「100円じゃな…」っとそのおじいちゃんは言った。
「え?この本は200円、、、ですけど?」
私は、お金を知っていて誤魔化すのは嫌いなので、ちゃんとしたことを言った。
「そうじゃな、、、確かにそうじゃ、、、」
「しかし、今は100円じゃ、、、」
「もともとその本は、いい作品ではあるがなかなか売れなかったのでな、、、」
「それに、今どきの子がそういった本を読んでくれるのは嬉しくてな、、、」
「 、、、 だから、100円じゃ!」
そうおじいちゃんが言うので、「いいんですか?」と聞いてみた。
すると、「うむ、もちろんじゃ!」と言ってくれたので、私は100円だけ払って帰ることにした。
『ラッキー!!いいおじいちゃんだったなぁ』っと思い、浮かれながら帰ろうと古本屋から出ようとした時、
ふと、毛むくじゃらの猫が道路の反対側を歩いているのを発見した。
そして、その時、『あ!可愛い!!』と、決して普通の人なら思わないことを、私は思った。
だから、『この後暇だし、追いかけてみよ!』っと思って、私は道路を渡った。
しかし、幾分かして、いくつかの角を曲がった後に、猫の姿を見失ってしまった。
「どこに行ったの~」
「ケム君、出ておいで~」
と、勝手に“ケム君”と付けたあだ名を呼んで、私は毛むくじゃらの猫を探した。
けれど、何処を探してもいない。
私は少し残念がって、「はぁ~あ」とため息を吐いてみた。
『なんで、いなくなっちゃうんかなぁ…』
私は内心、そんなことを考えながら、家に帰ることを決めて、信号のない交差点を右に曲がる。
いいや、右に曲がろうとしたんだ。
でも、「いったぁ!!!」っと気が付けば、人にぶつかっていた。
それは、私も下を向いていて、私にぶつかった彼も、下を向いて歩いていたから…。
だけど、私はケム君に逃げられた腹いせもあって、少しカッとなって文句を言っていまった。
「ちゃんと、前を向いて歩きなさいよね!!」と―――。
でも、向こうも悪気がないのはわかっている。
だから、向こうから謝ったら許そうかと思っていた。
しかし、顔を拝見してみると、そのぶつかった人は、知らない人ではなかったのだ。
というか、むしろ知っている人で、、、同じクラスの男子だった。
「え? まさか…」
そうやって、思わず出てしまった言葉。
私のぶつかった相手は、私の好きな人だったのだ。
そう、、、私とて立派な?高校生なのだ。
だから、好きな人の一人や二人、いても可笑しくはないのだ!
そういうわけで、好きになってしまった人にぶつかった私。
『どうしたものか?』
そう一瞬考えたが、そんな時、「ごめん」と言われた。
「え?」
“ボケー”としていた私にとって、その言葉は意外過ぎた。
『悪いのは私なのに…』
そう思ったから、私は咄嗟に謝り返した。
「私こそ、ごめん」
「私、今まであなたのことが好きだった」
「「え??」」
その言葉は二人が放った。
私とて、そんなこと言うとは思っていなかった。
だから、言われた向こうもビックリしただろう。
でも、もっとビックリしたのが、片思いじゃなく、両想いだったということ。
―――想いは実って消えていくもの。
―――それは一人だった時のお話で、
―――これは、二人の恋のお話。。。