Episode0 ~prologue~
初めての小説なので酷い作品になってしまうと思いますが、出来たら生暖かい目で見守ってあげてください。
辺りには、血のように紅い氷が視界一面を覆い隠していた。
「どうして貴方が!!」
そう言うのは、かつての観察対象であり俺の生徒でもあった者達だった。
(いやぁ~、この状況を見ても相変わらず熱苦しいのは健在だねぇ~)
「現実逃避はもう辞めろ。俺が敵で元々がこちら側の存在だった、それだけの話なだけだ。」
男はタバコを吹かしながらダルそうに言った。その直後に後ろから
「監視任務は終わったはずです。報告のためにも早く帰りましょう。」
副官であり、元生徒?でもある手下その1に言われた。
「はぁ~、この状況でも君はいつもと変わらないんだね、天音。」
そう言った途端にいつも無表情な天音の顔が微かに歪んだ。
「うるさいです。殺しますよ。」
と言って、持っていた剣で隣に立っていた青年を刺した。
(アレ?天音って味方だよね?って言うかマジで痛いんですけど・・・・)
「イヤイヤ、天音さんもう刺さってるからね。リアルに死んじゃうから。」
とは言うもの、男は全然死にそうには見えなかった。
「ハァ~、あなたが死ぬ訳ないでしょう。・・・最後くらい真面目にやらないのなら今日のご飯は抜きということでよろしいのですね。」
「うっ・・・了解です、真面目にやらして頂きます。」
ため息を吐きながら女は男から剣を抜いた。
「ッイタ!!もっと優しく・・・いえ、何でもないです。・・・っと言う事で、勇者諸君今まで中々楽しかったよ。みんながそろってないのは残念だがまぁいいだろう。今度会うときは敵同士だが一応は教師と教え子という間柄なのだから遠慮など「ふざけるな!!今まで俺たちを騙してたのか、先生。」は・・・」
槍を持った青年が我慢できずに怒鳴りつけた。
「え~、人がせっかく真面目に悪役その1をやってたのに最後まで喋らせろよ、シオン。まぁ、いいか。結果的にはそう言う事になるな。」
「音夜先生・天音ちゃん、どうして・・・」
(あはははは、どうしようこの面倒な状況。助けて・・って、美鈴さん丸投げですか・・・。面倒を通り越して、もう嫌になってきた。)
そう考えていたところ、
「ぐう~~」
「・・・・」
シリアスな空気をぶち壊す悲鳴が聞こえた。
「あはははは。ゴメン、暴食の力を使ったせいでもう限界みたいだから帰るよ。」
男がそう言い手を挙げた途端に一匹の黒い機械仕掛けの龍が降りてきた。
「もう良いのか。」
「何が?」
黒い龍はまだ何か言いたげだったが何も言わずに男を見続けた。
(まったく、おせっかいな相棒だことで、)
「・・・ふぅ~、一応お前たちは俺の可愛い生徒なのだから忠告だけはしといてやる。これから始まるのは200年前の再来だ。戦かっても戦ってもたくさんの人が死んでいき最後には何も残らない。もし、戦わずにただ生き残りたいのであれば俺を呼べ、お前たちが生き残るだけなら俺が何とかしてやる・・・ただし、生き残れるのは、お前たちだけだ。他は諦めろ。」
男は髪を無造作に右手で掻きながらそう言った。
「兄さん、それは・・・。まぁ、良いでしょう。それなら私も最後に」
「天音ちゃん・・・」
「・・・奈々。美鈴に私はあの約束を忘れてはいません。どうか、あなたにとっての良き選択を。とだけ伝えといてください。」
その言葉を最後に二人は黒い龍に跨り空へと消えていった。
そして、二人と一匹が彼らの前から去り、紅き氷の世界は消えていった。
彼らが最後に残した言葉は、彼らに残っていた最後の良心なのかも知れない・・・