もういや!また増やしてきて!元いた場所に返して来なさい!元いた場所がもう無い件。
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地球。シルバディア宅。
「ただいま。」
「っすー」
帰ってくると誰もいない。みのりもいないと言うことは外食にでも行ったか。
「誰もいないわね。ちょっと待っててバル。」
「っす。」
バルガンディアをリビングのソファーに座らせスマホを見る。13時。昼時だった。みのりに帰ってきたとLINEをぶっぱなし、須垣にも帰って来た話があるとメールを送る。その後私は冷蔵庫からコーラを取り出してバルガンディアと自分のコップにそそぐ。
「なんすか。これ。真っ黒な液体っすよ。」
「コーラって言うのよ。甘くて美味しいわよ。」
「へー。」
バルガンディアがぐいっとコーラを一気飲みするのを横目に自分も一口煽る。
「ぶわーーー!なんすかこれ!!くちがぱちぱちするっす!!」
「ふふ。新鮮ねその反応。」
「面白いっす・・・・・・」
「じゃあこれ食べなさい。」
「え?食べる?私達何か食べる必要って無くないっすか。」
「食べなくていいからってずっと食べないのは損よ。味覚はあるんだから。」
「私味覚あるんすかねぇ。」
バルガンディアはテーブルに置いてあった大福を剥いて口に放り込む。するとバルガンディアはつーっと涙を流し始めた。
「どう?」
「しゅ・・・・・・しゅごい・・・・・・あじが・・・・・・あじが・・・・・・」
「それは甘いっていうのよ。」
「甘い・・・・・・すごく甘い・・・・・・」
震えるバルガンディアを尻目にスマホを確認する。みのりからは返事は無いが須垣からは返事が来ていた。すぐに電話を掛ける。
「・・・・・・・もしもし?須垣?」
「シルバディアさん、1ヶ月ぶりですね。片付いたのですか。」
「片付いたわ。でも厄介な事になった。」
「厄介なこと・・・・・・どう厄介なことに?」
「エルと同じパターンよ。しかも子供。」
「えええ・・・・・・・参りましたね・・・・・・」
「こっちも参ったわ。他の女神龍だなんて初めてだし、私達以外がいるだなんて思ってもみなかった。」
「確か女神龍は宇宙の創造主なんだと伺っておりますが、それが他にいたと。」
「ええ。一応宇宙の数だけいる、と考えられてたけれど。地球のある宇宙という例外が出たから私達以外はいないと思ってたの。」
「左様ですか・・・・・・・それが今回現れたと。」
「ええ。しかも大変な問題児だったわ・・・・・・」
「それは、地球に危険は無いんですか?」
「女神龍自体を完全に封じるのは不可能なんだけれど、今から力の一部を封印をして、教育を施そうと思ってるの。だから私達の様に受け入れて欲しい。面倒は見るから。」
「・・・・・・承知しました。一度伺わせていただいて、お話を詳しく聞かせてください。」
「わかったわ。今みのりとエルいないけれど、待ってるわ。」
「わかりました。すぐ向かいますので。」
「頼むわね。」
電話を切りコーラを飲みきる。バルガンディアは恍惚の表情のまま固まっておりしばらく放って置いてよいかと思案する。
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・
須垣はタクシーの車内で総理への直通の秘匿チャットアプリで報告していた。
「シルバディアさんが 帰還しました。 新らしい 来訪者が 有るようです 緊急総理レク 求めます・・・・・・・一先ず最初の報告はこれで良しか。」
タクシーがシルバディアのマンションへ到着すると交通系ICで支払いをする。そしてすぐさまエレベーターに乗り部屋へ向かう。
「シルバディアさん、来ましたよ!」
「あがって。」
返事があり、部屋へ上がるとリビングでくつろぐシルバディアさんと、いつぞや見たシルバディアさんの服を着たショートボブで髪が左右で白と黒に分かれたツートンの、シルバディアと同じほどの年頃の少女がいた。
「こちらが、例の・・・・・・?」
「そうよ須垣。バルガンディアよ。ほら挨拶なさい。」
「っすー!バルガンディアっす!」
「あ、ああ、どうも・・・・・・」
「バルは私の25万分の1の年齢だから赤ちゃんみたいなものなの。」
「25万分の1!?!?一体何歳なんですか・・・・・・!?」
「20万歳っすよ?」
「20万・・・・・・・たしかシルバディアさんが500億歳だと言っていましたから計算は合ってるのか・・・・・・・」
「それでよ。須垣。今から力の封印を施すから証人になってね。」
「え!?」
「じゃないとバルは日本に受け入れてもらえないでしょう?」
「で、ですね。わかりました。」
「バル。こっちに来なさい。」
「うっす!」
ベランダに移動し、シルバディアが光球をいくつも出す。その中心に床に腰を下ろしたバルガンディアを据えて、封印を始める
「行くわよ。バル。須垣もちゃんと見てて。」
「っす!!!」
「はい。」
そして光球からバリバリで電撃が走り、閃光が駆け巡る。強烈な光が辺りを埋め尽くし・・・・・・・
「ぎゃあああああーーーーーーー!!!!!」
「!?」
バルガンディアの悲鳴が轟いた。光が収まるとぐったりとしたバルガンディアがいて須垣は目を見張るのだった。
「だ、大丈夫なんですか・・・・・・?」
「大丈夫よ。これでバルはこの人間体から姿を変えられなくなったし、勝手に取引も出来なくなったし、権能も使えなくなった。」
「ええ・・・・・・・」
「バル、なんかやってみなさい。」
「えい!えい!?龍になれないっす!?力も・・・・・・使えない!?うわぁ!!何も出来無いっす!!!」
「これでよし。須垣?ちゃんと見たわね?」
「ええ、はい。我々は今のを信じるのみです。」
「それでよろしく。」
「ちょっとシルさん!!!ここまでやるんすか!?」
「やるに決まってるでしょ。バル、貴方自分が何したかわかってないの?」
「その、バルガンディアさんはなにしたんですか?」
「ちょっと教えてあげるわ。」
ベランダからリビングに戻り、魔法瓶からお茶を淹れて三人で座る。
「まずね。この宇宙には星や銀河に配置があるの。その配置を調整することで、生命が繁栄しやすいとか、資源が作られやすいとか決めるの。」
「はぁ。」
「それをこの子は。その配置を雑にやって、銀河大直列という星の力場が暴走する状態を作って、宇宙ごと滅ぼしてしまったのよ。」
「ええ・・・・・・」
「普通はそういうやったらいけない力場や配置というのは女神龍なら自然とわかるの。だけどこの子はそれを無視してた。ポンコツで、マヌケで、スカポンタン。女神龍の面汚しなのよ。」
「なるほど。」
「ううう!シルさんそこまで言わなくてもいいじゃないっすか!」
「貴方が宇宙を滅ぼしてなかったら言わないわよ。」
「ぐう。」
「ぐうの音が出た。」
このポンコツマヌケスカポンタンはどうにかしたので良いとしてそれで日本が受け入れてくれるかは別だ。こいつから得られる物はまじで何も無くしたのでどうしようもない。
「これで何も出来なくしたから危険は無いわ。でもその分こいつから得られるものは何も無くなった。
一応身体能力だけは変わらないから地球に隕石が落ちてきたらバルを射出して隕石を砕くなんてことも出来るわよ。」
「なるほど。」
「なるほどじゃないっすよ!?なにさせようとしてるんすか!?」
「貴方の利用価値の話をしてるのよ?」
「いやっすよそんなの!!」
「じゃあ貴方何が出来るのよ。」
「えと・・・・・・流星群を作れるっすよ!」
「封印したから無理ね。」
「え・・・・・・じゃあ海が作れるっす。」
「封印したから無理ね。」
「う・・・・・・空が飛べるっす。」
「封印したから無理ね。」
「何も出来ないっす・・・・・・」
「そうなるよう封印したもの。出来るのはご飯を食べるのとお風呂に入るのだけよ。」
「うえーん。」
泣いちゃった。だがこうでもしないとバルガンディアはやらかすのであった。
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アメリカ。ホワイトハウス。オーバルオフィスにてジョーンズ・B・ライトイヤー大統領がCIAの長官、イライジャ・ケインから報告を受けていた。
「以上が、CIAのエージェントの調査報告です。」
「ふむ、これからの情報で、何が見える?イライジャ。」
「私から言えることは・・・・・・増えている、と言うことです。」
「増えているとは、何がだ?」
「日本側のコードネーム:ドラゴンの同居人が、です。」
CIAのエージェントが叩きだした資料。それはシルバディアのマンションの事情を秘密裏に調べだした物だった。電気、ガス、水道のメーター、その他ゴミの内容まで。マンション周辺の防犯カメラのハッキングなどもしている。それが導き出したのがシルバディアの同居人が増えている。だった。
「同居人が増えるくらい普通では無いか?日本側が監視の目を強めたのかもしれん。」
「いえ、そうではありません。ここを。」
「・・・・・・・家具の納入記録か。」
「はい。ティーン向けの家具が多数搬入されています。おおよそ二人分。監視員にティーンの子供を宛がうでしょうか。」
「何が言いたい。家具の納入もレディ・シルバディアのコレクションの可能性だってあるぞ。イライジャも知ってるだろうが物を転移させられるんだ。異空間に物をしまってその日の気分で家具を取り替えてるだけかもしれんぞ。」
「我々もその可能性を示唆しました。ですが今度はここを。」
「ゴミの内容まで調べるのは品性が無いがな。」
「ゴミの量が異常なのは今に始まったことではないですが、ゴミの内容。明らかに好みが出ています。」
「好み?」
「はい。コードネーム:ドラゴンだけの時はピザ、バーガー、その他フードのゴミが多く、あるときからそこに取り寄せグルメ品が明らかに増え始め、最近になっては全体的な菓子類のゴミが急増しています。」
「と言うことは・・・・・・」
「我々はこれらのことからコードネーム:ドラゴン級の何かが増えていると考えます。」
「ふむ・・・・・・・」
「大統領如何致しましょう。」
「・・・・・・・考えすぎではないか?」
「本当にそうでしょうか。」
「ああ。レディ・シルバディアは人間とは違う。埒外の行動をする可能性は大いにある。お前達の調査結果をないがしろにするわけではないが、レディ・シルバディア級の宇宙怪獣がそんなに存在すると思うか?一種一族の種族であると考えた方がよっぽど納得が行く。」
「それも検討しました。大統領がそういうのでしたら、最後の写真をご覧ください。」
「これだな・・・・・・まさか、この二人が?」
ジョーンズ大統領の見た写真。それはみのりと出掛けるエルーカディアとバルガンディアの写真であった。
「この人物が宇宙怪獣である可能性が非常に高いです。」
「・・・・・・わかった。」
ジョーンズ大統領が資料を置くと顔を撫でる。
「イライジャ。」
「なんでしょう。」
「この二人の宇宙怪獣の姿の画像を持ってこい。」
「・・・・・・。」
「そうしたら。全面的に信じる。今は、可能性の話だけだ。」
「・・・・・・わかりました。なんとしても。」
「イライジャ。すまないな。可能性があると言う話は受け入れる。だが可能性だけで外交は出来んよ。」
「ええ、ええ。わかってます。」
「だが日本は、隠していないようで隠しているな。」
「ええ。なんとかして暴いて見せます。」
「ああ、だが、同時に日本に悟られるなよ。」
「・・・・・・そのことなんですが。」
「何かあるのか?」
「エージェントが数人行方不明になっているんです。」
「何故に?捕縛されたか?」
「いえ、捕縛されたなら、日本から何かしらアクションがあるはずです。
ですが、バラバラの箇所から痕跡が完全に途絶えているんです。」
「どういうことだ・・・・・・?」
「わかりません。ですが、日本に聞くわけにもいきませんので・・・・・・」
「わかった・・・・・・聞けるとき聞いてみよう。」
「お願いします。」
日本を訪れたバルガンディア。それに伴う変化は、確かに世界に浸透しつつあった。それが良いことか、悪いことかはまだわからない。




