表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
春の陽とことり  作者: きの子ちゃん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/15

第1話 勧誘


①勧誘


「春川くん、お願い! 本当に女子が足りないの!」


昼休み、陽は突然腕をつかまれた。


演劇部の女子が、必死の顔で引っ張ってくる。


「え、いや、俺は……」


「顔がいけるから! 頼むって!」


“いけるから”の意味は分からないが、

陽は押されると断れない性格だ。


気づけば部室の前まで連れてこられていた。


「ここ、ちょっと入ってみて!」


ドアが開く。


中には衣装ラックと、メイク道具と、数人の部員。


その中に――ひよりがいた。


陽は気づかない。


ただ、同じ学科で見かける“静かな子”だと思っただけ。


ひよりは、陽を見た瞬間、

胸の奥がふっと熱くなるのを感じた。


(……はるくん)


小学生の頃、毎日のように一緒に遊んだ男の子。


優しくて、困った顔が可愛くて、

気づけば好きになっていた。


でも陽は、ひよりを見ても何の反応も示さない。


(……そりゃ、気づかないよね。こんなに変わったんだもん)


ひよりは、そっと視線を落とした。


「春川くん、今日だけでいいから! この役、お願い!」


「……今日だけなら」


陽が折れると、部室がぱっと明るくなる。


「やった! じゃあ準備しよ!」


陽は鏡の前に座らされ、


メイク道具が並べられていく。


ひよりは少し離れた場所で、

陽の横顔を見つめていた。


(……変わってない。困ったときの顔も、断れないところも)


胸が痛いような、懐かしいような感覚が広がる。


②ひより視点

陽が鏡の前でメイクをされていく。


ひよりは、誰にも気づかれないように息をひそめて見ていた。


(……本当に、気づいてないんだ)


少し寂しい。

でも、声をかける勇気はない。


(昔の私じゃないから……)


陽の名前を呼んだら、

あの頃の自分まで見られてしまいそうで怖かった。


(でも……舞台、大丈夫かな)


陽が緊張で肩をすくめるのを見て、

ひよりの胸がまたきゅっとなる。


(……困ってる顔、変わってない)


助けたい。

でも、どう助ければいいのか分からない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ