第69話 ミステリーサークル
朝。
東京ダンジョン外縁区の草原に、人だかりができていた。
巨大な円。
幾何学模様。
倒れた草が、完璧な形を作っている。
「宇宙人だ!」
「絶対宇宙人!」
スマホが一斉に向けられる。
ニュースドローンも飛んできた。
【SYSTEM LOG】
【Unknown Pattern : Detected】
リサ・カミシロが草を見て言う。
「またこれ?」
ナカニシ・コウイチが腕を組む。
「ミステリーサークルやな」
周囲の人間が騒ぐ。
「宇宙人のメッセージだ!」
「地球侵略のサインだ!」
カイ・シノハラはしゃがみ込んだ。
草を一本持ち上げる。
倒れ方を確認する。
【SYSTEM LOG】
【Compression Direction : Human】
「宇宙人ではありません」
「人間です」
リサ。
「やっぱり」
カイが模様の中心を見る。
地面に小さな跡。
板を押し付けた跡だった。
ナカニシが笑う。
「昔からある手口や」
「板で草倒すだけ」
周囲の人間がざわつく。
「いやでもこの形は…」
リサが言い放つ。
「宇宙人が草だけ丁寧に倒して帰るわけないでしょ」
ナカニシが空を見上げる。
「もし宇宙人やったら」
「もっと派手に壊すわ」
カイはモップを取り出した。
模様の中心を拭く。
【SYSTEM LOG】
【Hoax Pattern : Cleared】
模様が崩れる。
ただの草原に戻った。
人々が静まり返る。
ナカニシが頭をかく。
「ミステリーサークル言うけどな」
「ただのイタズラや」
リサがため息をつく。
「騒ぐ前に考えなさいよ」
ナカニシが笑う。
「ミステリーサークル?」
そして空に向かって叫ぶ。
「お前の頭がミステリーや!!」
周囲が吹き出す。
カイは掃除機を背負う。
【SYSTEM LOG】
【Cleaning Complete】
草原は、ただの草原に戻った。




