第68話 超能力教室
終末騒動の翌日。
街のあちこちで奇妙な看板が立った。
【今日から超能力教室】
【誰でもスプーン曲げ!】
【覚醒セミナー開催】
リサ・カミシロが看板を睨む。
「懲りないわね」
カイ・シノハラが端末を見る。
【SYSTEM LOG】
【Psychic Training School : Rapid Spread】
「昨日の映像が拡散しています」
「超能力ブームです」
公園。
人々が円になっている。
インストラクターがスプーンを掲げる。
「力を抜いてください」
「宇宙エネルギーを感じて」
参加者がスプーンを握る。
「曲がれ…」
曲がらない。
インストラクター。
「信じる心が弱いんです」
ナカニシ・コウイチが呟く。
「お前の頭が弱いんや!」
リサが腕を組む。
「全部それで逃げる」
カイがログを確認する。
【SYSTEM LOG】
【Suggestion Residue : Detected】
「昨日の洗脳アルゴリズムが残っています」
「完全には消えていません」
インストラクターが叫ぶ。
「さあ皆さん!」
「最高ですか!!」
数人が条件反射で答える。
「最高でーす…」
ナカニシがたわしを蹴る。
バシュッ。
高速ブラシが教室の装置を弾き飛ばす。
「超能力講座、閉店や」
装置が停止。
カイがモップで床のコードを拭く。
【SYSTEM LOG】
【Mass Suggestion : Cleared】
空気が静まる。
参加者がスプーンを見る。
「……曲がらない」
リサが言う。
「当たり前でしょ」
「努力は必要でも」
「奇跡は売ってないのよ」
ナカニシ。
「超能力より」
「筋トレの方が確実や」
カイは掃除機を背負う。
「人は」
「簡単な答えを信じやすいです」
公園に静けさが戻る。
スプーンだけが残った。
【SYSTEM LOG】
【Cleaning Complete】




