第57話 文化のコピペ地獄
翌日。
街は“同じ歌”で溢れていた。
同じポスター。
同じダンス。
同じ言葉遣い。
全部、同一。
【SYSTEM LOG】
【Culture System : Infinite Duplication】
映画館も美術館も、同じ作品しか流れない。
人々は頭を抱える。
「もう見た!」
「昨日もこれ!」
「文化がループしてる!」
リサが即座に叫ぶ。
「無理! これは無理!!」
カイは掃除機《虚無を喰らう竜》を起動。
地下文化レイヤー。
複製されたコンテンツデータが洪水のように流れている。
【SYSTEM LOG】
【Copy Function : Stuck】
「コピーロックです」
「オリジナルが見失われています」
掃除機の吸引口をノードに当てる。
ゴォォォ……。
大量の重複文化データが吸い込まれていく。
ポスターが消え、BGMが止まり、街に静寂が戻る。
カイは最後にモップで基幹参照ラインを拭いた。
【SYSTEM LOG】
【Culture System : Restored】
通りに、違う音楽が流れ始める。
壁に、別の絵が浮かぶ。
人々の表情が戻る。
リサが大きく伸びをする。
「やっと個性復活」
「全部同じとか、悪夢でしょ」
カイは掃除機を背負う。
【SYSTEM LOG】
【World Authority : Culture Accessible】
また一つ、触れてはいけない権限が開いた。
カイは記録を閉じた。
「文化は……掃除できません」
「守るだけです」
リサが横目で見る。
「当たり前でしょ」
「汚れと一緒に消したら、承知しないから」
「……にゃん」
【SYSTEM LOG】
【Cleaning Complete】




