第21話 コピーの山
広間は、すでに埋め尽くされていた。
同じ姿、同じ動き、同じ気配。
ボスの分身が、次々と生まれていく。
「どれが本体だ……!」
「斬っても、増えるだけだぞ!」
探索者たちは消耗し、足場を下げていった。
【SYSTEM LOG】
【Duplicate Function:Active】
その後方で、カイ・シノハラは状況を観察していた。
「……複製、過剰ですね」
掃除機《虚無を喰らう竜》を下ろす。
ノズルの先で、負圧が静かに立ち上がる。
「分身はデータです。
残骸から消します」
吸引開始。
ゴォォ……。
分身の一体が、音もなく吸い込まれた。
続いて二体、三体。
探索者たちが目を見張る。
「消えた……?」
「いや、増えない……!」
【SYSTEM LOG】
【Duplicate Function:Suspended】
空間が、急に静かになる。
分身は生まれなくなった。
残ったのは――一体だけ。
「……あれが、本体だ」
カイは短く告げる。
探索者たちは一斉に動いた。
集中攻撃。
咆哮。
そして、崩壊。
ボスは霧となって消滅した。
沈黙。
「助かった……」
「なんで分かったんだ?」
カイは掃除機を背負い直す。
「コピーが多すぎました」
首を少し傾けて。
「コピー&ペーストは、ほどほどに」
探索者たちは苦笑し、深く息をついた。
分身は残らない。
本体も残らない。
清掃は、完了している。




