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王族が来た。

「ま、まあとりあえず元気にやろう!リリ、ドローンでの補助お願い!じゃあ…!……どうぞご入場ください!」

すごい人数だ……。量は足りるだろうけど…うまく対応できるかな…

そう言って美晴はドアを大きく開けた。


「姉ちゃん!ここ、座っていいか?」

「はい!どうぞ!好きな場所にお掛けください!」

ゾロゾロと客が和室に入っていき、秒で満室になった。


「姉ちゃん!このドラゴン刺しってやつを3人前!」

「俺もドラゴン刺しを10人前!」

「私はこの黒毛和牛ってやつ2人前で!」

「なあなあ!こっちのサイドメニューうめぇぞ!」

「わかりました!」


それから昼休憩まで休みが一切なかった。


「ハァハァハァハァ……。疲れた…。まさかこんなに売れるとは……。もう在庫がないな…まあみんな、お昼ご飯交代で食べてね。」

『リリは食事は必要無いのでリリドローンの台数を増やして皿洗いなどにも回りますね!』

リリは分裂しながらあちこちへと飛んでいった。


「さてと。午後からも頑張らなきゃ!あれも進めなきゃ!」

美晴は厨房に行き、日本に行った時に買ったカレールーを出した。

「アーモントカレールー!今回は甘口ね!具材は煮込み終わってるから入れるだけ!」

美晴はどんどんカレールーを追加して行った。そして、混ぜ合わせ蓋をした。


その匂いに釣られたのか、客の一部が身を乗り出して言った。

「なあ!姉ちゃん!このいい香りなんだ?!やべぇ…よだれがでてくっぞ……」

「カレーって言うんです!よかったら味見しますか?」

異世界でもカレーって人気なんだ。すごいな…


白米をよそい、その上にグラデーションのようにこんがり茶色のカレールーを乗っけていく。

自分でもよだれがでそうなほど。

「はい、お待ち!カレーだよ!」


おっちゃんは目をきらめかせ、食いついた。そして数秒動かなくなった。

「………。…うんめぇ!なんだこれ!口の中に放り込んだら一瞬でほわっと牛すじ肉が溶けていく食感!それにこの茶色い液体!あんまい!スパイスも少し効いてて甘辛!」

…食レポありがとう。


「ねえこいつが食べてんのカレーって言うやつ私にもくれるんでしょ?!ね?」

「あ、はい!」

「じゃあ俺も特盛で!」

「俺も!」

「はい!順番にお待ちください!」


サプライズ料理はこうして一瞬でお客さんのお腹にしまわれたのだった。

ちょうど夕日が薄くなった時だった。入店してくるお客さんがあたふたと急ぐようになった。


「こ、国王陛下がいらっしゃったぞ!!!」

国王陛下?!やっぱり国に無断で開店させたのがダメだったかな…。国王陛下だから待たせちゃダメだよね……。

美晴は外に出て豪華な服装の人を探した。


「い、いた!……ってバリバリ焼肉食べに来てない……?従者の1人もつけずに…。」

すると美晴の作業服を見た国王陛下は美晴に一直線で歩いてきた。

「お主。ここの従業員かね?」


「は、はい…」

寄ってくるんだ…。

「この美味そうな肉はなんだ?!なんの肉だ?!専属コックでも作れない肉だ!なんか写真と似せられないんだ!タレを漬けてもその色味は敵わん!どうやって調理している?!」


と、突然美晴にくっついた。びっくりして美晴は後ずさるがまた距離を詰められてしまった。

近っ。

「なら…見てみますか…?」

待たせるのもダメだろうし…。


美晴は国王陛下を店に招き入れた。いきなり入ってきた国王に客はびっくりし数秒の沈黙の後、納得したようなスッキリとした顔立ちになっていた。

いや逆になんで?!納得しないでぇ?

そんな思いも腹の奥底にしまい、私は国王陛下の対応に。


「え〜っと当店ではご自身でお肉を注文していただき、ご自身でお肉を焼く、というセルフサービス型となっております。ご注文の際は私をお呼びください。では、ごゆっくりどうぞ!」

ちゃんとできたかな……。と思いながら厨房に戻ろうとすると国王陛下に声をかけられた。


え、いや早くね?!でも接客しなきゃ!

「は、はいなんでしょう…?」

「この肉一つずつ全てお願いする!金はいくらでも用意する!このライスってやつもだ!」

「は、はい…」


次から次へと入ってくる注文量に頭がくらくらしてきた。

やばい、このままじゃパンクする…。リリ、この注文覚えておいて…後で紙に書き写して……自動オートモードオン…。

ステータス画面を出しリリに自分の体を任せ、眠りについた。



「ハァ…。リリ、いる?あの後どうなったの…?ごめんね全部任せて。」

『マスター!起きたんですね!あの後大量の使者が来て国王陛下を連れて行きました!その後もリリが担当しました!国王陛下はお肉と白米を持ち帰っていましたよ!』

そうなんだ…。流石に国王陛下がここで暴れてると話題になるよね…あはははは…


「まあ今日は残った材料で夜ご飯作ろう。シーザーサラダとコーンポタージュにフランスパン。主食はローストビーフかな。前世のバイトで五つ星レストランで働いててフレンチとかは全て習得しといたから良かった!」

そう思いながらどんどん食材を切っていく。香りに釣られたキングがつまみ食いしに来た。


「あっキング。まだ夕飯じゃないし部屋にいていいよ?」

「手伝うねん。」

と言ってにんじんを手に持つ。

あそれグラッセにしようとしたやつ。


「ありがと。グラッセって知ってる?それ作って欲しいの。」

日本によく滞在していたキングならそれが何かは分かるだろうがグラッセは高級レストランにしか出ない。難しいことは十分理解してるだろう。

「え…ワイがグラッセ作るん?…むずくね?」


キングはにんじんをジト目で見る。美晴はそのにんじんを手に取り皮を剥き始めた。

「まあね。でもやってみたら作れないことは無いんだよ。んじゃあそれ水から湯がいてごらん。」


キングは言われた通りに鍋に水をそそいだ。

「そしたら砂糖を少量入れて。そのあとは沸騰させるだけだから私に任せて。」

キングは蓋をし、椅子を持ってきて対面に座った。


「どうしたの?」

「……ワイの秘密の話や。」

秘密?なんか秘密にしてることなんてあるの?

「なんでも言ってごらん。受け入れるよ。」


キングは少し黙ってから決心したように口を開いた。

「ワイ、男やないねん。」


ポコッボコボコ


それと同時ににんじんの沸騰してきた音が聞こえたのだった。

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