幽霊退治道具増産会社
無色透明な弾を冷凍ボックスから取り出してハノンは言った
「ついにできた、これで幽霊をロックオンだ」
ここは幽霊退治専門の武器を発明する研究所だ
未だかつて、幽霊用の銃というのは開発された試しがなかったが
ハノンはついに発明したのだ。
「おい、スティル試してきてくれないか
実験用退治リストはこれだ」
相方のスティルはぶっきらぼうに
「わかったよ」と返し研究所を後にする
午前2時、幽霊はその辺りで宴会中だ。
「あ、あいつリストに載っている奴だな」
スティルは人間の住宅に入り込もうとしている幽霊を発見した。
「体調が悪く、深夜に物音がすることに悩んでいます
幽霊が原因なら退治して欲しい。」
まあいいだろう
透明な弾を冷凍ボックスから取り出し
専用銃にセットしていく。
ブシュ!!
見事に幽霊に貫通した。
一瞬よろけた幽霊は
スティルに向かった駆け寄ってくる
はあ?!
さらに透明だった体がはっきりし
ニコニコと笑っているではないか…
「私を仲間にしてくれるのね!」
銃を構えるスティルに向かって
ニコニコで近寄ってくるので
スティルはぽかんとしてしまった。
実験は失敗だ。
それにしても良くできている
何かだ。
可愛らしい瞳で見てくるので、
スティルは仕方がなく実験サンプルとして
連れ帰ることにした。
「おい!ハノン!これはどういうことだ!」
「アハハ!実験成功だね、僕はねせっかく幽霊でいるなら
仲間にしたらどうかと思ったんだ。」
「仲間?!」
スティルは驚く
「でもね、幽霊さん、それは君が見めることだよ
君が地上に居られるのは1週間だけなんだ
まあ僕の発明が成功していればだけどね」
「僕たちと一緒に研究してその一週間を過ごしてもいいし
思い残すことがあったなら、それをやり直しに行ってもいいんだよ」
「私、やり残したことをやりたいです。」
可愛らしい幽霊はそう言って研究所を後にした。
「スティル、あの幽霊を追って観察しに行こう」
二人は可愛らしい幽霊を追っていく。
「おいー、またあの家に向かってるぜ…」
可愛らしい幽霊はその家玄関ドアの前にじっと
体育座りをしたまま何時間も座り続けている。
朝になると中から女が出てきた。
可愛いらしい幽霊は「お前なんか死んじまえ」
と言って一瞬何かが光ったかと思うと
何もなく静かに倒れて生き絶えてしまっている。
「ハノン!これ困るやつじゃねえか…」
「はは!いいんじゃない?
この世にはこういう罰を受けるべきやつもいるのさ」
可愛らしい幽霊の死因は、バイト先での暴力だった。
その会社では社員の不審死や精神病が相次いていたという。
「ありがとう、私これでもう心残りはありません」
透明になっちゃうとね、怨念みたいなのしか使えなくて
あまり効果がなかったんですよ」
そう言って、1週間立たずしてその幽霊は成仏していった。
「あはは!僕の実験は成功だ」
ハノンは冷たい目で笑っていた。
-おしまい-