・寮
「ここ……ですか?」
黒の壁に囲まれた長い廊下を突き抜け、階段を降りたその先の扉を開けた先にあったのは、なんとも言葉にできない黒い豆腐型の建築物だった。
「そうだ。今日からお前たちは此処に住んでもらう。親の許可や手続き等は済んでいる。それからお前たちが着けてる腕輪だがな、今後一カ月は外れないからな。防水加工はしているからあんまり気にせず生活しろ」
「気にするなって言われても……」
「とりあえず今日はもう遅いから寝ろ。二階にお前らの部屋があるから。また明日の朝な。七時には来るから、ちゃんと起きとけよ?」
建物を背にしてそう言う高田先生。中に入れば大きなエントランスがあり奥にはリビングキッチンが見えた。
「二階はどこだ……?」
「あ、あの……そこの階段で二階に上がれるんだな」
そう指さす先には確かに手すりの付いた安全そうな階段があった。いつの間にか登っていた鋭太は最後の一段を飛び降りて着地する。
「ボクの名前とかジュートの名前とか書いてあったぞ、みんなの部屋だな」
そうしてみんな二階へ行き自分の名前が書いてある部屋に入っていく。もちろん俺も。
「ここが、俺の部屋……」
ガチャ、と扉を開けた先はまるで独房みたいだった。なんて、ムショに入ったことないからイメージだけなんだがな。
「寝るか」
備え付けのベッドに寝転び、仰向けで頭の後ろに手を組んで枕の代わりにする。灰色の壁や天井、照明から降り注ぐ光を瞼を閉じた瞳で感じながら俺の意識は段々と薄くなっていった。
『ジリリリリ!』
「うるせぇ!」
爆音で鳴り響くタイマーの音で俺は飛び起きた。なんなんだ!? 部屋を出れば同じように出てくる奴らが数人いた。
「お前も起きたのか、蓮也」
隣から出てきたのはクラスメイトの影夜。どうやら影夜も俺と同じように飛び起きたみたいだ。ぴょこんと寝癖が立っている
「影夜、おはよう。にしてもさっきの音、なんなんだ?」
今はすでに音は止まっているものの耳の中でまだ響いてる感覚がある。影夜は片手で頭を押さえながら階段の方に歩く。
「分かるかよ。どこから鳴ってるのかすらも分かんねぇのに」
と、そんな具合に話していると階段を登る音と共に高田先生が現れた。
「おう、起きたか! 早く下に降りてこい!」
影夜と顔を見合わせ、俺たちは促されるまま一階へと降りた。エントランスの奥にあるリビングキッチンで話すことに。
「で、先生! さっきのうるさいのなんだったんですか!?」
「目覚ましだ」
「目覚ましぃ?」
「お前らは今から軍に所属することになる。この寮は軍用寮だ。あの目覚ましは本来もっと小さい音で鳴る物なんだが、今回は特別に大音量にしてもらった」
「なんで!?」
「ひよっこなお前らはどうせ小さい音じゃ起きないと思ってな。これから例の計画に参加する者たちで会議をする。お前らも付いてこい」




