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13話 洗いっこ


「ねぇ、リリン、魔物って何?」


俺はとりあえず気になったことを聞いてみた。

今突然ネロがリリンの事を騙してるかもしれないなんてことを言ったところで困惑してしまうだろう。

それに、俺のメインの目的である睡眠に関しても今叶ってしまえばリリンの事をほっぽり出して眠りについてしまう可能性が高い。

だからこそ、今はリリンを助け出すためにもこの世界の事を知らなくてはいけない。


リリンに魔物の事を聞くと、少しうーんと悩んだ後に教えてくれた。


「ネムちゃんって記憶が無くなってるんだよね?」

「うん」

「じゃあ詳しく説明するね!」


それからリリンは魔物についてとても詳しく教えてくれた。

曰く、この世界は聖なる源と邪なる源の2つの源から成り立っているらしい。

その2つの源は対極の位置関係にあるらしく、それぞれ、聖なる源に近ければ人族の領土、そして邪なる源に近ければ魔族の領土となるらしい。

そして、人族の領土に住む比較的温厚な生物をそのまそのまま生物と言い、魔族の領土に住む凶暴な生物の事を魔物というらしい。

全ての物はその源に影響を受けその姿を変えているということみたいだ。


「……だけど、そうだとしたら私はなんでここにいるの?」


そこが純粋に疑問に思った。

リリン曰くアンデッドというのは死体がある程度の期間邪なる源に晒された結果魔物化したものらしい。

だとしたらここは恐らく聖なる源側の人族の領土みたいだし、俺がここに居るということが異常に思える。


「あー、多分ここが2つの源のちょうど中間のところ辺りにあるからじゃないかな?」

「そうなんだ?」

「そうそう、どっちの源の影響も受けてるからネムちゃんはアンデッドになったんじゃないかな? あ、あとそれの影響で喋れてるのかもね!」

「ふむ……」


そういう事ならおかしく無いのかな?

それ以上のことはリリンも知らないようだった。


そんなこんなで話しているとリリンはご飯を食べ終わってしまっていた。

途中で流石に俺も食べた方がいいということで俺も多少はパンを食べた。

やはり味は分からなかった。


「よし、それじゃ体を綺麗にしたら寝よっか!」

「うん」

「それで、提案なんだけど……体洗いっこしない?」

「…………」


ふむふむ、それはまずいんじゃないか?

抱きついたりとかそういうのは必要に迫られて仕方がなくやった事だし、別にやましい意図とかもない。

しかし、洗いっことなるとやましい意図があるとかないとか関係なしに犯罪ではないか?

いや、罪に問われることは無いだろう、だって今の体はまんま幼女なのだから。

だが、それにしたってやっていい事と悪いことはあるだろう。

今回のこれは明らかにやってはいけないことだ。


「いや、けどそれはちょっと……」


俺は丁重に断ろうとした。

しかし、そうするとリリンは目をうるうるさせて今にも泣きそうな表情になる。


「背中とか拭きにくいところを拭いて欲しかっただけなんだけど……そんなに嫌なんだったら、いいよ、ごめんね………」


ぐぅっ!? 良心がっ!

良心と理性という普段は割と仲のいい2つの感情がぶつかり合っているだと!?


「いや、別にやなわけじゃないよ」

「じゃあ、洗いっこしよ?」

「ゔっ……」


これはこれは、どうしたものか…………。

脳内の良心と理性の戦いはどうやら理性の優勢のようだった。

しかし、ここで良心の必殺技が出た。


そう、「もう体は幼女なんだし、別にいいじゃないか」だ!


結果としましては…………。


「ありがとー、いつもそこの部分届かなくてむず痒い思いしてたんだよね、あー、きもちいいー」

「…………」


えー、良心の勝利です。

こんな良心は嫌だランキングトップ層のりょうしんが良心が勝ってしまいました。

せめてと思い目を半開きにしながら、そして服で背中以外の部位を隠した状態というできる限りのことはした状態での洗いっこだ。

……まぁ、こんな事をした所で罪の意識は消えないわけなんだが、ともかくこれで何とかなった。

背中を拭き終わったリリンは清々しい顔でタオルをバトンタッチした。


「じゃ、脱がすね」

「うん………………ん?」


特に何も考えていなかったから一瞬違和感無くスルーしてしまうところだったが、流石にこれは俺も見逃さない。


…………リリン、君なんで俺の服を全部脱がしているんだい?

俺は慌てて止めに入る。


「リリン、ストップ、これ以上は、だめ」

「…………ネムちゃん、まだ体動かしにくいし力も入らないんでしょ?」

「…………まぁ」


歩くぐらいならそこまできつくは無いが、少し細かい動きなどをするのは流石にキツイ。

体を拭くというのも腕を後ろにやったりするのは少しきついかもしれない。

だが、リリンにやらせなければいけないという程では無い。


「あの、リリン? えっと、やめて?」

「…………」


あ、ダメだ、リリンの目が座ってる、これは何言っても無理なやつだ。

俺は必死に抵抗しながらも自分よりも体の少し大きなリリン為す術なく服を脱がされていく。

間もなくして俺は諦めて身を任せた。

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