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どう転んでも、お先真っ暗

 シートベルトが一馬の肩に食い込んだ。驚くと声がでないというのは本当らしい。

「あぶねぇ」

社長の剛はハンドルにしがみついたままだ。

「いや、まじで、危機一髪でしたね」

相手は気づいていないのか、一馬や剛を一瞥することすらなく、フラフラと走っていった。


 周囲の車のクラクションが、信号を無視して走っていく明るい色の電動キックボードを追いかけていく。

「まじであたるかと」

剛と一馬が乗る軽トラの後ろから控えめなクラクションが聞こえた。先方も事情をわかっているのだろう。

「出るか」

謝罪の意味も込めて、後ろの車に合図した剛は、軽くクラッチを踏んだ。

「オートマだったら危なかったかもな。エンストして動けなくなるってのはある意味利点だ」

ご機嫌の剛に一馬はため息を吐いた。これで会社の軽トラがオートマになる未来は消えた。


「ノーヘルかあいつら」

剛の視線の先には白とエメラルドグリーンの電動キックボードがあった。運転手は剛の言葉通りヘルメットを被っていない。

「あれレンタルですから。ヘルメットもバイクみたいに絶対じゃないはずですよ」

「自転車はヘルメットしろってのにか」

「あれも努力義務ですよ。絶対じゃない」

「しといたほうが安全なのになぁ。俺は甥っ子に、何とかモデルのどうとやらを買ってやったぞ」

「社長はいい叔父さんですよ」

「そうだろう」

どちらかというと甥の母親である姉に勝てないだけではとタカは思うが、そういうことは黙っておくものである。

「可哀想だなぁ。あいつら、事故ったら死ぬぞ。ヘルメットしてりゃ助かる可能性はあるっちゃあるけど、あれじゃぁ、投げ出されて終わりだ」


 一馬の視界に、歩道を走る電動キックボードが見えた。

「あれに当たられても悲惨ですよ。レンタルだから、保険入ってなくても運転するのいるでしょうし」

「どう転んでもお先真っ暗か。可哀想に」


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