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桃色ほっぺ  作者: 柚留
5/5

         5

お気に入り登録してくださった方、ありがとうございます!

見た瞬間から嬉しくてニヤけがとまりません…


今日も頑張ります!!

「…ぃ…太…太」


確か桃原…瀬那…だったよな


「…ぉぃ…太」


かわいかったなぁ


「桃…。…太…ぃ」


もう一度あの笑顔見たいなぁ。んー今頃なにしてるんだろう…。


「…桃太ぁ!!!!!さっきから何回呼ばせりゃ気が済むんだよ!!」

「わぁぁぁぁ!!中やん!?何!?」

「ったく、さっきからお前の名前しか叫んでねぇ気がするよ…次お前の番だよ。「すいか」」

「ごめんごめん。「カメラ」」


そうだ、今は桃路山に学年遠足に来ている。すっかりMY WORLDにトリップしてしまっていたようだ。謝りながらも、悪ぶったいでたちなのに、僕にかまってもらえなかったからって、ちょっとだけ口をひん曲げて拗ねる中やんをちょびっとだけかわいいなと思い、心の中で少しにやっとしたのは、僕だけの秘密にしておこう。



それにしてもいけないいけない、また意識が飛んでいたようだ。さっきから桃原瀬那のことしか考えられない。ただ目が合って、笑いかけてくれた。たったそれだけのことなのに、僕の頭はすっかり彼女に支配されている。その感覚は思いのほか心地よいもので、ぁぁそうか、彼女は俗に言う癒し系なのだなと、ぼんやり馬鹿なことを考えて、再び3分間ほど別世界に飛んでいってしまったようで、「ランドセル」と答えた中やんを、また拗ねさせてしまった。


ごめん、ごめんよと謝りながら、ふとまわりを見渡すと、ああ、緑ってこんなに綺麗だったのか、と思わずにはいられなかった。まだ山に入る前の森を歩いているところだが、新緑の葉は、日の光に透き通って見え、キラキラと輝き、舗装されていない枯葉の敷かれた道に、涼しげな木陰を描いている。なんだか美しく描かれた絵の中を歩いているようだ。桃太は素直に感動した。今までこんな綺麗な緑を見たことがあっただろうか。すごいよなぁ、自然って、と呟くと、中やんは目を細めて僕をみて、んー、恋ってひとをロマンチックにさせようとするのかなぁと、不思議そうにぼやいていたけど、僕には理解不能で、本日2回目の「鈍感だなぁ、桃太は。」というお言葉を頂戴した。







しかし、それから後は、何も考える余裕などなくなった。

思った以上に桃路山登山ルート、別名ピーチルートは名前だけでなく、見た目にも手強かったのだ。

毎日強くなるために修行してはいるのだが…。目の前にある斜め60度はあるんじゃないかと思うほどの崖、もはや壁は、延々と頂上まで続いているらしく、考えただけで…ははは。はははははは。て感じだった。この道に「ピーチルート」なんて可愛いあだ名をつけた人は、よほどのユーモアセンスの持ち主だったに違いない。心の中で、この遠足を企画した、先生やPTAに悪態をついていると、隣にいた中やんが、凄い苦虫を今まさに口の中で噛み潰して、しかも飲み込んでしまったかのような、まさに『THE嫌そうな顔』をして

「まさかこれを登れってんじゃねぇだろうなぁ?ぉぃどぉなんだょコラ!!!」と担任の伊藤に掴みかかっている。普段より数倍、いや数十倍いかつくなったその顔で間近に迫られて、伊藤は失神寸前だ。


「そのまさかだ!この糞ガキが!!」

「ッってー!何すんだよ殺す気かボケェ!」

突然現れた学年主任に、中やんは、見てるこっちが痛くなってきそうなげんこつを頭に一発おみまいされた。しかし、流石なんとか族の幹部である。あんな拳はへでもないというように景気よく今度はつっかかっていっている。しかし、学年主任はそのパンチをいとも簡単にするりとかわし、楽しそうに笑っている。その身のこなしに感心すると同時に、今目の前で、中やんと対等に、いやもしかしたらそれ以上に、やり合っているこのおっさんには、素直に従っておいたほうがいいなとも冷静に判断した。




「…えー誰かさんのせいで少し時間が無駄になってしまったが、これから説明を始める。」




「…大丈夫か、中やん」「くそ、あいつ大人気ねぇ」

何故かあれから女子は学校へ戻り、男子だけが残された。くそ、こんなときでも視線が痛い。全く嫌になる。

あれから10分間ほど、2人はやりあっていたが、結局中やんのパンチは、1回もおっさんには当たらなかった。中やんの頭はたんこぶが2つできていて、まさに桃路山のようだった。

中やんにこれだけの攻撃を与えるなんて、なんというスーパーおやじだろう。


「今からこのピーチロードをお前たちに登ってもらう。まぁ1時間もあれば余裕だろう。」

「「「「「「「ぇぇーーーーーーーーー」」」」」」」」」

思ったとおりあちこちでブーイングが起きた。まぁそらそうだよな。


「話は最後まで聞けゃ!いいか、まぁ別に登らなくてもいいょ。俺は困んねーし。ただし、この道を登らない奴には、また別の、この山の向こう側にある裏道を登ってもらう。そっちの方が傾斜もゆるいしな。」

「そんなのあんなら、そっち選ぶに決まってんじゃん!」後ろのほうで誰かが叫んだ。

「だから最後まで聞けっつってんだろが糞ガキがァ!お前らは猿か!

言ってなかったが、この遠足には特典がついててなぁ…最初に頂上に着いた奴には学食1年間分のタダ券が贈呈されることになってんだよなぁ…。ふふふ。いいよ、楽なほうをいけよ。ただしその裏道、この崖…いや道の5倍の長さがあるから…どっちを選ぶかは、お前らの自由だ。

「汚ねーぞぉぉ!!!!」

「鬼ーー!悪魔ーー!!!!」

「はっはっは!!何とでも言え!」




…そしてなんというサディストおやじだろう…

男子だけ集められたのはこういうことだったのかよ…。

桃太は心の中で苦笑しながらも、もしかしたらこのレースで勝てば、男にそういう目で見られなくなるかもしれないなと思った。これでもトレーニングは毎日欠かさず行っているし、学食をたくさん食べれば背も伸びるかもしれないし、それに、もしかしたらあのこも…ほんのちょっとだけでも、俺をかっこいいと思ってくれるかもしれない。こんな見た目でも、かっこいいって思ってもらいたい…!



「俺、登る。」隣の中やんに小さく告げると、その場にいた男子たちが全員、さっきより大声で「ええーーーー!!!!」と絶叫した。


「だめです!!君みたいなかわいい生物にこの崖は過酷すぎる!!」

「やめてくれ!!あなたは俺らのオアシスなんだーー!!」

「だめでしゅー!券が欲しいのなら僕がプレゼントしましゅーー!!そうだ!僕が一番に頂上に着いたら券はプレゼントするから…付き合ってくだささいでしゅーー!!」

「何!?山田とつきあえんのか!?なら俺だって参加するぜ!!」

「俺も!」「俺も!!」「僕だって!!」「我輩も!!」「おらも!!」

「じゃぁ一番に頂上に着いたやつが山田と付き合えるってことでいいな!!??」

「「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」」」」」


「ちょ…待てよ!!」この状況…おかしいだろ!?なんでこんなことになってんだよ!!??学年の男子全員が崖を登ろうとしている。しかも俺と付き合うために。…頭がついていかない…。


「いいじゃん。お前が一位になれば。まぁ俺は絶対負けないけどな。」

「中やん!?」

「ふーん一位とれば桃太とつきあえるのか…んじゃぁ本気で狙ってみようかなぁ。ふふふ。」

「ぅぉ!いっちー!?いつの間に…てか何言ってんだよ!!」

「桃太。本気で行かないと食われるぞ??」中やんがニヤっと口をゆがめ、恐ろしい言葉を吐き出した。

まじかよ…でもこれで絶対負けられなくなった。絶対一位は俺のものだ!!

自分の身を守るため、そしてあの子に自分を見てもらうため…俺は命を懸ける!!



「おー今年の新入生は全員崖を選ぶか…これは期待できそうだなぁ…。

では、よーいどんで始めるぞ。




よーーーい…ど「あの!!!」




みんながいっせいに声のしたほうを見た。






僕は息を飲んだ。まさか…





「私もレースに参加したいんですけど…ダメですか?」






そこには今日一日、僕の心を捉えて離さなかった桃原瀬那が、

思わず誰もが見とれるほど美しい、まっすぐな挙手をして堂々とたっていた。











…中やんが本当に族の幹部なのか、わからなくなりました。結構キレゃすい奴ですしね。つとまんのか!?

いっちーは…変ですね。

桃太は…妄想癖がひどいですね。





ょく考えたらろくな男居ませんね。





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