セクシー田中さん事件について思ったこと
この事件に対する日テレのコメントを読み、非常に気になった部分がある。
それは「脚本制作作業の話し合いを重ね、最終的に許諾をいただけた脚本を決定原稿とし、放送しております」の「最終的に許諾」の部分だ。
このコメントを読んですぐに連想したのは、契約書によくある誠意協議条項だ。
誠実協議条項とは例えば「本契約に定めのない事項、または本契約の解釈について疑義が生じた場合は、当事者は本契約の趣旨に従い、誠意をもって協議し、解決するものとする」といった内容だ。
日テレは原作者のつけた条件である「ドラマ化するなら必ず漫画に忠実に」に同意してドラマ制作に着手した。しかし日テレは原作者による修正が必要な脚本をもってきた。その経緯からすると、日テレは最初から「忠実に」の条件を守るつもりはなかったのではないか?
本件についてコンプライアンス違反があったかどうかについて、日テレ法務部門の見解をきいてみたいところだ。おそらく契約書が「誠実協議条項」を有しており、「最終的に許諾」をもらったのだから問題ないという見解だろう。
例えば期限直前にテレビ局側が多忙な原作者に脚本を送り付けて、時間がないことを理由として改変をごり押しする方法などが考えられる。
諸氏も知っての通り、原作者とテレビ局との力関係は非対称である。原作者側が圧倒的に弱い。このような力関係にあるときに、「誠実協議条項」のある契約を締結すると強い力を持つ側のごり押しができてしまう。
また、さらに疑うなら例えば「ドラマ化にあたっては原作に忠実に描くことを尊重する」などのように「尊重する」と付け加えて、原作者側が挙げた条件をできるだけ弱い文言に書き換えているのではないかとすら思う。
このような文言とすることで、原作者が脚本をチェックできる機会を設けたのだから、原作に忠実に描くことを十分に尊重した、だから法的に問題ないという言い訳ができてしまう。
今回のような事件の再発防止のための検証には、契約がどうなっていたのかを検証をすることが不可欠であると思う。今後、どのような契約であるべきかを考えることも重要だと考える。
と、ここまで書いてきたが、そもそも本件の契約があったかどうかすらわからないので、全く的外れのことを書いたかもしれない。
おまけ
自分ならどうするかを考えてみた。
まず、テレビ局側がもってきた契約案から誠実協議条項をはずすように要求する。
また、契約に「改変」に関する条項を設ける。そこにはテレビ局が希望する締め切りまで十分に時間的な余裕を設けて、原作者へ脚本を提出することを要求する。さらに、テレビ局側による原作からの改変に伴って、原作者が脚本を修正する作業を行った場合の費用についても定めさせる。
さらに最終的に改変に同意できなかった場合の処置についても定めさせる。
例えば、ドラマ作品中で原作者の同意を得てない旨を明示させるなどだ。
そして、別途覚書を取り交わして改変範囲をあらかじめ指定する。例えばキャラクターの性別や性格の変更禁止や、原作にない恋愛エピソードの追加の禁止などである。
他のアイデアとしては、下請け法や独禁法を活用することである。まったく詳しくないけれど、すこしググってみると使えそうだ。
ただ、こういうことをやろうとすると弁護士などの専門家に相談することが必要だろう。
以上、素人の思い付きです。詳しくは専門家にご相談ください。