File:009 逆転裁判
今回は2001年10月にカプコンから発売された、
DS用ソフトである『逆転裁判』について語ります。
非常に著名な作品で、ゲーム以外にも漫画や
アニメ、映画や舞台などにも題材とされており、
作中の有名な台詞である『異議あり!』を含め、
どこかしらで見聞きしたことのある人は多いでしょう。
私がプレイしたことがあるのは、3DS版の
『逆転裁判123 成歩堂セレクション』の中にある
ものだけで、それ以外のバージョンのものはプレイ
したことがないため、ご了承下さい。
■このゲームに対する、作者の個人的な評価
難易度:C
面白さ:A
スピード感:B
多様性:E
①”開放的”な世界観
本作はいわゆる『推理もの』であり、殺人事件が発生し、
主人公がその事件にアプローチしていくというものなのですが…
『推理もの』の定番である、吹雪の山荘に閉じ込められる、
孤島に置き去りにされ、連絡が取れなくなる――などといった
いわゆる”クローズド・サークル”と呼ばれる要素は一切なく、
良くも悪くも、開放的な世界観といえるでしょう。
そういった緊張感や閉塞感のようなものを求める
人にとっては、本作の雰囲気はあまり合わない、物足りないと
感じてしまう人もいるかもしれません。
また、『推理もの』にはありがちなドロドロとした人間関係、
恋愛要素、色気を含んだシーンなどが少ないことも
特徴の一つかもしれません。
正確には、それなりにあるといえばあるのですが…
ゲーム全体に広がる雰囲気が、それを上手い具合に
緩和しているといった印象です。
②じっくり進める『探索パート』
本作は第一章、第二章など、章ごとに明確な区切りが
されており、更に一章の中に『探索パート』と『法廷パート』が
あり、この二つもまた、明確な区切りがされています。
『探索パート』で情報や証拠品を集め、法廷での”武器”を
十分に準備した後、『法廷パート』において検事側とのバトルが
繰り広げられるといった構成。
この二つのパートが明確に区切られていることで、プレイヤーの
緊張感のメリハリも、自然と生まれてくることとなります。
少々ネタバレになるかもしれませんが、『探索パート』では
どのように進めたところで、基本的にその後の展開に大きな
影響はありません。
選択肢の選び方などによって、最終的に手に入る情報や
証拠の数が増減するようなことはなく、『法廷パート』に
突入する際、重要なものは必ず揃う仕様となっています。
つまり、誰がどのようにプレイしたところで、『探索パート』
における”着地点”は、みんな一緒ということなります。
このように聞くと、探索パートにあまりやりがいを感じないと
思う人もいるでしょうが…逆に考えれば、緊張感を抱くことなく
じっくりと、リラックスしながらプレイすることができる――
といった捉え方をすることもできます。
そして、だからこそ『法廷パート』における緊張感、スピード感が
より顕著なものに感じられるといった効果もあります。
『探索中』にも一歩間違えれば死、あるいはバッドエンドが
待ち構えているというような緊張感を漂わせる作品も多い中、
それらとは大きな線引きがされている…といった印象です。
③”起承転結”が詰め込まれた、『法廷パート』
この作品の最大の魅力であり、見せ場となるのが、
法廷における弁護側と検事側とのバトル。
『探索パート』とはうって変わり、ここでは一つのミス、
一つの怠慢が被告人の有罪――つまりは
ゲームオーバーに結び付いてしまうことがあります。
そして『法廷パート』が進む中で、事件の真相と決着が
次第に近付いていくのですが……そこに至るまでの二転三転、
場合によっては『探索パート』が終了した時に出していた
”結論”が根底からひっくり返るようなこともあり、この辺りは
正に、ミステリー作品の醍醐味といえるでしょう。
そして重要なのは、”真相の解明”だけではなく、”そこに
至るまでのプロセス”を考えていかなければならない点。
”何があったのか”だけではなく、”どのようにすれば、
この証人から重要な証言が引き出せるか?”などといった
考え方が必要となってきます。
他の推理系のゲームにおいても当然、少なからず含まれる
要素ではあるのですが…本作においてはこの部分に
スポットライトが大きく当てられており、”犯人は誰か?”、
”真相は何か?”だけが作品の肝ではないところが、
個人的にはとても印象深く、好感を持っています。
この辺りで一区切りし、続きはまた別の機会にでも
語ろうかと思います。
よろしければ、この作品についての皆さんの評価や
感想もぜひ、聞かせてください。
それでは、またの機会に。