表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

第4話

   

「ありがとう、ジャック。また私を守ってくれて」

 ゴブリン二匹を始末した僕に、彼女は(ねぎら)いの言葉をかけてくる。

「いや、こちらこそ。レジーナがモンスターを見つけてくれるから、助かってるよ」

「あら、そうかしら? 私、特別なことは何もしてないわ」

 謙遜ではなく、本心からそう思っているらしい。

 彼女には、いち早くモンスターの気配に気づく、という特技があった。おかげで毎回、こちらから先制攻撃できる。これは本当にありがたい状況だった。

「いやいや、冗談じゃなくてさ、本気で凄い能力だと思うよ。モンスター相手に勘が鋭いって、凄く便利だから……。冒険者デビューしたら、すぐに『うちのパーティーに入ってくれ』って、引っ張りだこじゃないかな?」

「ふふふ……。そうなったら嬉しいけど……」

 レジーナの笑顔に、少しだけ暗い影が混じる。

「本当に私、冒険者になれるのかしら? お父様とお母様が、許してくれないかも……」


 貴族の子女も通う騎士学院だが、彼らは彼らだけグループを形成しており、僕たち庶民と友だち付き合いをすることは滅多にない。教室で見かけるレジーナは、いつも庶民の女子たちと一緒であり、だから彼女も庶民の出だと思っていたが……。

 こうして二人で森を歩きながら話してみると、言葉の端々に、育ちの良さが現れてくる。おそらくは下級貴族、あるいは庶民だとしても相当な金持ちなのだろう。

 本人は秘密にしているつもりのようだが、わずかな時間に僕でも見抜けたくらいだ。彼女の友人たちもとっくに気づいており、わかった上で「気づかないふり」を続けていたに違いない。

   

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ