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ラグナロクの行動計画  作者: 碧海ラント
緑林檎の騎行
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第二章 緑林檎の騎行 2 The Mission started

      2

 校舎中央、大吹き抜けの一階に、緑色のリンゴのバッジを付けた人間が数百人集まっていた。正規学生団体グリーンアップル・ジャパンのメンバーたちである。この開和学院でも多数の生徒が参加しており、世界の六つの支部、一つの準支部を合わせると参加者の数は一万に届くかというほどになる。

「過度な管理をやめろ! プライバシーの解放を!」

 様々なセリフを並べ立てて、ナイルを追及する。この学校は、ナイルが理事を務める中でナイルの付属学校のような形態となっていたので、学校をも巻き込むことへの批判の意味もある……らしい。

 その点を追及するセリフは今のところ叫ばれていないが。

 その中に、数人のバッジをつけていない人間がいた。香川和裕と、江原希はメンバーではないため大声は上げていない。

 その周りにいるのはグリーンアップル内で「第三班」とだけ呼ばれるグループである。荻野春樹のほかにコーデリア・シエル、熱海和則、エミール・代々木という名の三人がいる。この「第三班」のリーダーは黒田紘太朗というが、彼はナイルのスパイであるという嫌疑がかけられており、この場にも来ていない。普段から黒田と親しく、グリーンアップルでの経歴も長い荻野春樹が臨時でリーダーのようなことをしている。

 しかし、よく考えるとここは開和学院の校舎内であり、当然の結果として教師たちが駆けつけてくる。そして、怒鳴る。

「何をやっている! ここは学校の校内、迷惑行為はやめたまえ!」

「すぐに解散してください。繰り返し警告します。すぐに解散してください!」

「解散しないと警察呼ぶぞ!」

 三人の教師がやってきた。しかし、なぜかそれ以上はやってこない。教師たちも、暴力行為を働けば犯罪になるので警告と威嚇以外のことはしてこない。

「おかしいな……」

「何が?」

 江原希が香川和裕の顔を覗き込む。無邪気そのものの顔で、香川和裕は一瞬抱き着きたくなったが、とりあえずそれは置いておいた。

「教師が三人しか来ない。他の教師は何をしているんだ?」

「うーん……。なんでだろうね。……どっかで聞いた噂なんだけど、今の校長先生はナイルと仲が良くて、でもそんな校長先生が嫌いな先生もいるって。だから、今来たのは校長先生と仲良しの先生で、校長先生と仲が悪い先生たちは来てない――とか?」

 可愛い顔で学校のダークサイドをさらっとばらすな。それに、そこまで入り組んだ理由なのか?

 グリーンアップルは警告を無視する構えのようだ。それを見て香川和裕は、しばらく動く必要はないと思ったのだが。

「香川さん、僕たち『第三班』は沖野晴美さんを追って、校外で行動することになりました。香川さんと江原さんは、行きます?」

「……ああ、俺は行く。外部生だからな」

「あたしは……まあ、いっか。あたしも行く」

「おい、大丈夫なのか? 一応登校日扱いで、校内にいなきゃならないんだろ?」

「いいじゃないいいじゃない。そんなこと」

 この事件が片付いたらこっぴどく叱られるかもな、と香川和裕は考えた。

「沖野さんの場所は分かるのか?」

「ええ。付近の監視員から連絡が。目的地は多分、ナイル第三支部です。JR線沿いに東へ進んでいます」

「分かった。なら早くいくぞ」

「はい!」

 荻野春樹は威勢よく返事する。


 そうして、彼らはこっそりと校門を出ることになったのである。

 指定された、校門を出る時刻まであと五分。

 ほかの人たちはともかく、江原希は校外に出たのが発覚すれば咎められる。マスクをつけたり制服の上からジャンパーをつけたりして目くらましをすることもできるが、一番の問題はスカートだ。

 香川和裕も、女子の場合はスカートで開和学院の生徒を判別する。それだけ目立つ。

 そこをどうやってカモフラージュするかだが、

「こうしよう!」

 江原希本人が声を上げて、バレリーナの出来損ないのようにぐるぐる回る。

 とある教室の一角で彼女がしきりにアピールしているのは、丈の長い紅茶色のコートだった。日差しを浴びてその色が一層際立っている。

「今十月だし、寒がりってことでいいんじゃないかな?」

「ま、まあいいんじゃないか?」

 江原が金に近いほど薄い色の、肩に届くか届かない程度の髪をゆらゆらさせて喜ぶ。本当はこのコートを見せびらかしたいだけじゃないのか。

 そういうことで校門を出て、静まり返っている住宅街の中を歩く。

 静かすぎて逆に気味が悪いほどだ。まあ、最近の人は外に出て遊ぶようなことも少ないだろうし、これが当然なのかもしれない。と思っていたら、沈んだ色の和風建築の家の前でおばあさんが箒をハタハタ振っていた。

「急ぐぞ。沖野さんがどうなるかもわからない」

 すると、箒を振っていたおばあさんがいきなり声をかけてきた。

「ああ、ちょっとお待ち。沖野さんがどうかしたのかい?」

 無視する構えだった荻野たちも、これを聞いて何か手掛かりになるかもしれないと思い、立ち止まった。乾いた空気に、おばあさんの間延びした口調が響く。

「この辺は晴美さんの通学路でな、晴美さんはいっつもここ通るたびにあたしに挨拶してくれてたさ」

 荻野はちょっと失望したよう顔をしたが、おばあさんは構わず続ける。

「で、さっきも晴美さんを見たんだがの――」

 荻野たちが顔を上げる。

「車さ乗せられてたわ。こんくらいの車で、ちょうどあの辺で止まってたさ」

「あ、あの辺で止まった?」

「そさ、そこん道端に止まって、なんかでっけえ男を乗せてったさ。でっけえ男でな、ニメータはあったさ。なんか軍人みてぇな、いや、警察みてぇな服着てたさ」

「警察みたいな服を着た男を乗せた……? そ、その車はどこに行きました?」

「ああ、この通りをそのままあっちの方へ真っ直ぐじゃ。そんであの亀の置物のある家の角さ左に曲がってったさ」

「あ、ありがとうございます!」

「うんにゃ」

 荻野春樹は号令も忘れて駆け出し、香川和裕と江原希、第三班のメンバーがそれに続いた。

こんにちはです(今晩は、かな?)。

碧海ラントです。今回もサブタイトル付きでお送りします。ちょっとカッコよくなるように英語でつけてあります(文法合ってるかは不明だが)。

そろそろストックが無くなってきたので、さらなるペースダウンが予想されますが、続きますので今後ともよろしくお願いします。PV数もっと上がるとうれしいです。

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