慕ってくれる弟分
「……それで、山を下りたんだけど、麓で変な口調で喋る黒ずくめの人間に話しかけられて、そん時にヒドラ病? ってのに罹っちまったから、あそこで体を休めるしかなかったんだ。だから、助けてくれたアニキ達には、感謝してもしきれねぇ。ほんとにありがとな」
そう感謝を述べるこいつの話を聞いて、俺は合点がいった。こいつが強さを求めるのは、まーちゃんやロッティと一緒だったんだ。相手が魔王か同族かの違いだけで。
あと、その黒ずくめの人間ってのがどうも気になる。もしそいつが人じゃなかったとしたら、ホリオ村に病を蔓延させたのもそいつの可能性が高い。
「礼を言われるほどのことはしてねぇよ。こっちも魔王討伐の仲間が増えたし、問答無用でそんな体にしちまったしな」
「それなら気にすんな。おいら、これでもけっこう気に入ってるんだぞ」
「へ? いいのか? ドラゴンとして元の姿のままの方がよかったんじゃ……」
「いいんだ。ドラゴンの姿に拘ってたら、落ちこぼれのおいらは多分、どっかで限界を感じてたと思う。けど、この姿ならおいらの長所をどっかで活かせるかもしれない。それなら断然こっちの方がいい! アニキと種族的にお揃いだしな」
要は強くなるために、外見的なプライドは捨てたってわけか。まぁ、落ちこぼれだってんなら、その方が利口かもしんねぇな。
「わかったよ。そういうことならもう何も言わねぇ。頼りにしてるぜ」
「おう!」
元気よく返事して、俺のことを『アニキ』と慕ってくれるドラゴンのガキを見て、俺は少し感慨深いものを感じていた。
(あぁ、弟や後輩ができたら、こんな感じなのかな)
って。俺、一人っ子だったし、こんなツラだから部活の後輩もあんま寄りつかなかったから、人一倍そう思う。
そう考えると、こっちに来てから矢鱈と慕われてる気がする……なわけねぇか。今のところまーちゃんとこいつしか、実質いねぇもんな。




