2人目はドラゴン
さて、問題はこっからだ。沼の浄化をギルドに頼まないといけないし、何より、こいつをどうするかまだ決まってない。助けたまではよかったんだが、あまりにも無我夢中だったから、後のことを全く考えてなかった。
「どうしますか? 勇さん」
まーちゃんからの問いかけを受けて、俺は熟考することにした。
もし、こいつがまた襲ってくるようなことでもあったら話は別だが、そうじゃない限り、命を奪うことはない。
かといって、変化した姿にまだ慣れてないと思われるこいつを、このまま沼野に放置したら、毒沼や魔物の餌食になりかねない。それではせっかく助けた意味がなくなってしまう。
結局、無い知恵を絞って、自分なりにあれこれ考えてはみたが、答えはこれしかなかったようだ。
「……それを決める前に、1つだけ聞かせてくれ。まーちゃんはいいのか? こいつが仲間になっても。今までの反応からして、魔物を快く思ってねぇだろ?」
俺としては、こいつを仲間に入れるのは大歓迎だ。ただ、まーちゃんまでそうとは限らない。過去のことがあるから尚更だ。そんな心に傷を負った相棒を不愉快にさせてまで、魔物を仲間にしたくない。そういった懸念や配慮があったから、俺はできるだけ、この選択肢を選ばないようにしていた。
その上で尋ねた質問に、まーちゃんは少し押し黙ってから、
「……えぇ。勇さんの言うとおりです。今でも魔物に対して苦手意識があります」
「だったら……」
「ですが、それはあくまで、野生や魔王の手下となった魔物だけです。人に飼われて、社会に溶け込むほど無害化した魔物がいることを私は知ってます。その魔物まで嫌ってるわけではありません。なので、私のことは気にしないでください」
と、答えた。
どうやら、俺の杞憂だったみたいだ。そうだよな。人にだって善人と悪人がいるぐらいだ。魔物=悪と決めつけ、恐怖の対象と判断するのは間違ってるよな。
「わかった。そういうことなら、ひとまずこいつは俺達で面倒を見るか。こうなったのも何かの縁だろうし」
「はい」
まーちゃんの了承も得たことで、ドラゴンのガキが仲間になった。
まぁ、元がエンシェントドラゴンなら、幼体だろうが半龍龍人になろうが、きっと即戦力になるだろう。なんたって、ヒドラ病を患っててもあんだけ強かったんだからな。
そう思い、期待の視線を向けていると、ドラゴンのガキが、また『ムニャムニャ』と言いながら寝返りを打ち、大の字になった。それによって、股間がモロ出し状態に。
「キャッ!」
ガキに似つかわしくないサイズのイチモツを不意に見てしまったまーちゃんは、サッと目を覆う。俺の世界でもそうだが、ドラゴンってのは、揃いも揃って色々とデカい種族らしい。羨ましすぎて嫉妬すんじゃねぇかコノヤロー。
「とりあえず、俺が着てた装備でも着せるか」
「そ、そうですね」
そう言って、俺はまーちゃんのリュックから鉄の装備一式を取り出し、嫉妬とコンプレックスに狂いそうになりながらも、手早く着させた。
こんな奴が本当に即戦力になれんのかな? あまりにも間抜けで無防備な姿に、心なしか不安になってくる………………
勇とまーちゃんのレベルが1上がった。
勇は【ワープ】と【モード・エクスカリバー】を覚えた。
・【ワープ】についての説明
1度行ったことのある町やダンジョンに瞬間移動する転移魔法。ダンジョンや建物内でも使用可。紙に行き先と魔法陣を書いておけば、1回限りの即席転移アイテムとしても使える。
パーティの人数にかかわらず、消費MP1。ただし、紙に書いた場合はMP0で使用できる。




