ドラゴンを救え
だったら、やることは1つしかねぇ。
「まーちゃん。ホリオ村で貰った聖龍草がまだあったよな? それでヒドラ病の薬を作ってくれ。後は俺が飲ませる」
「いいんですか? 1本しか残ってませんし、魔物に効くかどうかわかりませんよ?」
まーちゃんとしては、魔物なんかではなく、俺のために使いたかったんだろう。その気持ちはわかる。けど、俺は迷わず頷いた。
「あぁ。下手に傷付けて返り血を浴びたら、それこそ感染しかねねぇし、そもそもこいつは悪くねぇ。なのにこれ以上苦しませるなんて見てらんねぇよ」
「わかりました。では、すぐ作りますので、それまでの間お願いします」
「おう!」
俺はそう返事すると、再び奴の相手をした。心なしか、さっきより覇気がなく、苦悶しているように見える。
(可哀想に。まだガキだってのに、こんなに苦しんで……けど、もう大丈夫だ。まーちゃんの薬を飲めば、じきに良くなる)
限界が近そうなドラゴンに同情しながら、俺は奴の爪や尻尾をいなし、痰や血を躱す。1滴でも目や鼻、口に入ったら感染は確実だろう。そうならないよう気を付けながら奴の注意を引きつける。
その甲斐あって、まーちゃんの調合は無事成功。ヒドラ病の薬が完成した。
「できました!」
「サンキュー! こっちに投げてくれ!」
俺の指示に了解したまーちゃんの手から薬が入った小瓶が投げ放たれる。
「ナイスパスだ!」
まーちゃんを褒めつつキャッチした俺は、すぐさまそれを奴の口に流し入れた。
図体が図体なだけに、聖龍草1本分の薬で足りるかどうかはわからない。それでもなんとか効いてほしい。一縷の望みに賭けた俺は、奇跡が起きてくれるよう祈った。
はたして……
「グゥ、グォー…………」
願いは届かなかった。ドラゴンは小さく唸り声を上げると、その場に倒れ込んでしまった。
遅かったか。それともやっぱり薬の量が少なかったのか。いずれにしてもこんな結末になった以上、原因を追及し、論じたところで後の祭りでしかない……
聖龍草を失った。




