沼野とドラゴンの真相
しかし、奴はまだ諦めてなかった。剣を突きつける俺めがけて、粘性のある紫色の水弾を吐いてきた。
「ここにきて毒かよ!」
独特の色からそう判断した俺は、横っ跳びで緊急回避した。往生際の悪さもそうだが、今まで毒を使う素振りなんて、微塵もなかった。それだけに、俺とまーちゃんは面を食らう。
「おいおい。んなのまで使ってくんのかよ」
「そんな、ありえません! エンシェントドラゴンが毒を使うなんて!」
「それは亜種だからだろ? 現に今……」
そう言いかけたところで、ドシンという音と共に、地面が揺れた。
何事だ? と思って音がした方を振り向くと、そこにはさっきまで好き勝手暴れまくっていたドラゴンが、足元や沼に夥しい量の毒を吐き、苦しそうにのたうち回っていた。毒を使える魔物が、てめぇの毒で苦しむなんて、どう考えてもおかしすぎる。
いったい何故? 尋常じゃない苦しみ方をするドラゴンを前にして、ある仮説が脳裏に浮かんだ俺は、一旦情報を整理することにした。
(汚染された沼野……服毒した魔物……臙脂色の鱗……毒……亜種……)
クリアーになってく頭の中で、気になったことやワードがピースとなって組み合わさっていく。そのパズルが完成し、仮説が証明された時、この沼野とドラゴンに何が起こっているのか知ることができた。
「……まーちゃん。どうやら俺らはとんでもない思い違いをしてたらしい。こいつは亜種なんかじゃねぇ。紛れもなくエンシェントドラゴンの幼体だ」
「え? ですが、毒を吐きましたし、鱗も……」
「それはこいつ自体が病気に冒されてるからだ」
「病気……」
そこまで言ったところで、まーちゃんもようやくわかったらしい。
「もしかして!」
「あぁ、この症状。こいつはヒドラ病を患ってるんだ」
そう考えれば説明がつく。
毒だと思った水弾はヒドラ病のウイルスが満載された痰で、鱗が臙脂色になったのは、肌から出続けている血液が固まり、黒ずんだから。そして、アクアティック沼野が汚染されたのは、ヒドラ病に苦しむこいつが、さっきみたいに痰や血を沼に吐き散らかしたからで、魔物達はそれが混入した沼に棲息したことで、二次感染しちまったんだ。
つまり、こいつはただ病に苦しんでただけで、俺らと戦ったのも、あくまで自衛が目的だったってわけだ。
エンシェントドラゴン(幼体)のステータス
HP……450
MP……750
物理攻撃力……200
物理防御力……110
魔法攻撃力……250
魔法防御力……280
素早さ……650
命中……780
運……400
・特技……【尾撃】 【咆哮】 【ファイアブレス】 【放電】 【氷柱散弾】 【地響き】 【雨乞い】 【毒吐き】 【ディザスター】 【ドラコフレア】
・パッシブスキル……【属性耐性Lv4】 【常時毒】 【逆鱗】
・【逆鱗】の説明
ドラゴン系モンスター固有のパッシブスキル。
HP一定以下または顎の下を攻撃される等一定確率で発動。
3ターンの間、素早さと命中が大幅に下がる代わりに、物理攻撃力と魔法攻撃力と会心率が大幅に上がり、詠唱時間と大技の使用条件が緩和される。
また、連続魔法も使用可能となる。




