表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まーちゃんとクエスト!!  作者: 天馬光
第一章 バシレイア
9/419

精霊の主・エルフィニア

 ――その夜のこと。


「……目覚めなさい。目覚めなさい。新たな勇者・広岡勇よ」

 聞きなじみのない声に呼ばれた気がした俺は、ゆっくりと瞼を開けた。


 目の前に広がるのは、雲の中にいるような白い靄に囲まれた幻想的な光景。その中心で俺の体は、フワフワと浮いているようだった。

 あまりにも現実離れした状況。おかげですぐにピンときた。


(あー、こりゃ夢だな)


「それならそれで、かまいません」

 さっきと同じ声。その声が聞こえた方向を向くと、靄の向こうから神々しいオーラを纏い、エメラルド色の長髪を生やした20代後半ぐらいの女が現れた。芸術品のような端整な顔立ちに白い肌。息を呑むほど美しいこの女性が、どうやら声の主らしい。


「あんたは?」


「私は精霊の主・エルフィニア。この世界を見守り続けてきた全知全能の存在であり、生きとし生ける精霊達の長。あなた達の世界で言うところの神様です」

 マジか。序盤に神様みたいな存在が登場とか、異世界転生系にありがちな展開じゃねぇか。

 そんなファンタジー展開と夢の中ってのもあってか、俺は自分のことを『全知全能』と軽々しくほざくこいつをすぐには信用できなかった。だって――


「『だって、ただの精霊が全知全能の力を持ってるはずがない』ですか?」

 そう言い当てられて、俺はドキッとした。


「私には少しですが読心能力もありますので、これぐらい容易いことです。それに、あなたやあなたがいた世界のこともよく知っています」


「知ってるって、どれくらい?」


「全てです。あなたの世界が何度も戦乱を経験したことも、それによって並行世界との往来が盛んなことも、太古の昔から異種族と共存していたことも、全て。私が精霊と名乗っても、あなたが何一つ驚かなかったのは、幼い頃からそういった存在と親交があったからなのではないですか? 西暦2160年の東京から来た広岡勇さん」

 エルフィニアが言ったことは、全部当たっていた。


 確かに俺が生まれた世界は第1の世界って呼ばれていて、並行世界と深い関わりがあるし、俺がガキの頃、同じクラスに1人か2人ぐらい異種族やそのハーフなんかがいた。

 ってか、そう考えると、俺が今まで当たり前に過ごしていた世界も、十分ファンタジー色が強かったんだな。もしかすると文明レベルに差があるぐらいで、こことそんなに変わんねぇのかも。


 なんにしても、全知全能を自称するだけはあるって訳か。おかげで信憑性は増したよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ