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まーちゃんとクエスト!!  作者: 天馬光
第二章 ギルディア
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汚染された沼野

 細心の注意を払って沼野を進むこと数十分。アクアティック沼野というだけあって、沼からサハギンを始めとする、魚類や両生類に似た水棲系の魔物があちこちから出てくる。

 といっても、【モード・サンダーブレード】を常時発動している勇者の剣の敵ではない。俺は手応えの無さを感じながら、荷物片手に1匹ずつ斬り伏せていく。


 それを繰り返して行く内に、まーちゃんがあることに気付いた。


「あの、勇さん。気付きましたか?」


「気付いたって……何が?」


「先程から出てきた魔物。全て同じ体色をしていました。個体差どころか種類まで違うのに、明らかに変です」

 言われてみればそうだ。

 普通、魔物はその種類によって、生態だけでなく、外見にも色々な特徴がある。そのため、これはあくまで俺のイメージだが、水棲系の場合、体色は赤やピンクといった例外を除けば、だいたい寒色系と白のツートーンが多い。サハギンなら水色とか青緑といった具合にだ。

 なのに、エリア内のモンスターの体色が全て黒紫のベタ塗りで統一されてるなんて、幼稚園児の塗り絵並みに個性がない。これがRPGなら『配色に手を抜いた』と断定されて、デザインのやり直しを求められてもおかしくないだろう。


 では何故そんなことに? そう思い、ふと沼に目を遣った俺は、沼の色と漂ってくる腐ったような死臭、そして、水面に浮かんでいる魚の死骸から、魔物達の身に何が起こっていたのかわかった。


「そういうことか。どうりで歯応えがねぇと思ったよ。あいつら、俺らと戦う前から既に毒を浴びて、弱ってたんだ」


「毒って、どういうことですか?」


「多分だけど、この沼野が難所と化したのは、例の棲みついた魔物の強さだけじゃない。ここら一帯の沼が毒の沼に変質したからだ。そこに棲息してたせいで、あいつらは常に服毒してる状態になり、黒紫に変色するほど肌が壊死しちまったんだ」


「ということは……」


「あぁ。落ちたら俺達も猛毒に冒されるだろうし、雨とかで沼野の範囲が拡大したりしたら、流通どころか生態系や町にまで影響が出かねねぇ。それを防ぐには、早いとこ水質を元に戻さねぇと」

 とはいえどうしたもんか。原因はまだはっきりとはわかってねぇし、魔王討伐を後回しにしてまでここの水質を改善する価値があるかどうかと言われると、少し疑問が残る。


(まぁ、今日明日にでも人里に影響が出るってわけじゃないし、向こうに着いたら沼野を浄化してくれるよう頼んでみるか)

 そう結論づけた俺は、一先ず自分のパーティの命を守るために、まーちゃんに相当量の解毒薬を調合してくれるよう頼んだ。解毒薬が大量にありゃ、万が一沼に落っこちたとしても、ギリギリ助かる。要は転ばぬ先の杖って奴だ。


 と、早速準備に入ろうとするまーちゃんと俺の前方に右と前に枝分かれした丁字路が見えた。

 方角的には、真っ直ぐ進んだ方が最短だろう。しかし、そう見せかけて遠回りのパターンもあるし、右に曲がったら宝とかがあるかもしれないと考えると捨てがたい。


(どっちにしよう?)

 悩んだ俺はまーちゃんに相談を持ちかけようとした。


 その時、


「グァアーッ!」

 水棲系の魔物とは明らかに違う咆哮が、遠くから聞こえてきた。


「勇さん。今のって……」


「あぁ。例の魔物かもしれねぇな」

 声がしたのは右の方からか。奴め、俺達(えもの)が近くにいることを察知して、自分のテリトリーに招き入れようとしてんのか?

 上等だ。そっちがそのつもりならやってやるよ。どの道、あいつを倒さねぇことには、沼の浄化作業も難航しそうだし、みんなも安心して通れねぇもんな。たとえ相手が俺が想像してる通りのやつでも。


「行くぞ。まーちゃん」

 そう言うと俺は、まーちゃんを連れて、ここの主と化した化け物と一戦交えるべく、意を決して丁字路を右折した…………

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