アクアティック沼野
翌日の昼過ぎ。絶えず前へと歩み進めていた俺とまーちゃんは、ピタリと足を止めた。
目の前には、さっきまでの青々とした爽やかな草原ではなく、紫がかった沼とその間を縫うように続く細い道。小雨も降ってるせいか、空気から何からジメジメしている気がする。
どうやらここが、マオが言っていた難所・アクアティック沼野らしい。
ここを迂回するとなると、霊峰ドラゴとかいう名前からしてドラゴンだらけのエベレスト級高山を越えなきゃならない。それは流石に無理がある。
故に、ここを進まなきゃならないんだが、
(この悪天候の中、この道を進むのか)
少しでも足を滑らせたら沼にドボン。最悪底なし沼でアウトってことになりかねない。それにこの沼の色……どうにも嫌な予感がする。
そう思ってると、沼の底から黒紫色の体色をした魚の割合多めの半魚人が5体飛び出してきた。
(この見た目、もしかしてサハギンか! って、初遭遇に興奮してる場合じゃねぇな)
俺はすかさず勇者の剣で1体斬ったが、深手を負わせただけで、仕留めきれていない。やっぱ、ただの斬擊じゃダメみたいだ。
となると、あれしかねぇか。俺はまーちゃんに一旦荷物を預けて、脇差しも使える状態にしてから、
「【モード・サンダーブレード】……」
と言って、勇者の剣と脇差に電気を帯びた。
それを見て、奴らも危機感を感じたのか、慌てたように口から高水圧の水鉄砲を一斉に発射してくる。俺は飛んでくる水の弾丸を、自慢の動体視力で1つ残らず躱すと、1体のサハギンの懐に入り、
「そんなヒョロ弾、俺に当たるかよ。くらえ! 【ライトニングシュレッド】ッ!」
と言って前進しながら、電気を纏った2刀による連続斬りで、サハギンを片っ端から細切りにしていった。
ロッティの【トールサンダー】が一撃必殺って感じだったから、それに対抗して連撃仕様にしてみたが、予想以上の出来のようだ。
何にせよ、これで邪魔者はいなくなった。俺は預けてた荷物を受け取ると、リュックの重量のせいでふらつくまーちゃんが、沼に落ちないように注意を払いつつ、先へと進んだ。
(危なっかしいな。おい)
物を貰えんのは素直に嬉しいけど、そのせいで、かえって動きを制限する足枷になるとは。ものには限度があるってことか…………
勇は【モード・サンダーブレード】と【ライトニングシュレッド】を会得した。
・【ライトニングシュレッド】の説明
【モード・サンダーブレード】時のみ使用可能。ランダムの敵に通常の1.2~1.4倍の威力の雷属性ダメージを与え、麻痺させる。
消費MP5。




