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まーちゃんとクエスト!!  作者: 天馬光
第一章 バシレイア
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初めての宿屋

 すっかり日も落ち、バシレイアが夜の闇に包まれた頃、城を出た俺は、程なくして後悔の念に襲われる。


「……だーっ! やっぱもうちょい強請っとけばよかったー!」


「低俗なセリフを大声で叫ばないでください。恥ずかしい。仮にも勇者ですよ?」


「うっせぇ! 仕事に見合った報酬を貰うのは、人間として当然の権利だろうが!」


「まだ勇者として何もしてないのに? 欲深にもほどがありますね」


「て、てめぇ……」

 ラーサーの生意気な態度に、俺のイライラは限界に近付いていた。


「ともかく、それだけのお金があれば、宿にも泊まれるでしょう。この町で1番安い宿屋を紹介しますので、今日はそこに泊まってください。勇者の仕事は明日からでも遅くはありません」

 うっ、ムカつくけど、こいつの言うとおりだ。

 なりたての勇者である俺が、今から冒険の旅に出るなんて危険すぎる。急いては事をし損じるとも言うし、なにより、いいかげん腹が減ってきた。



 そんなわけで俺は、ラーサーの案内で宿屋に向かい、そこで一泊することにした。

 安宿の割には、ベッドの質と夕食のパンの味は良く、宿屋の主人達もアットホームで人柄もいい。人生で最も波乱に満ちた日を送ったせいもあってか、このオアシスみたいな宿には、文句のつけようがない。


 だからかな。ベッドの上でふと『仕事があるから』っつって入口で別れたラーサーのことが頭に過った。

 口では悪態をついてても、職務をちゃんと全うして、俺の面倒を最後まで見てくれた。もしかするとあいつは、本当はクソ真面目なだけでいい奴なのかもしれねぇな。


 そう思うと、あいつになんかしてやりたくなり、あれこれ思案していたが、結局、何も浮かばないどころか睡魔にも勝てず、そのまま寝落ちしちまった――――

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