一世一代の土下座
ドンカカの口から語られた話を聞いて、今まで謎だったことが、1本の線となって繋がった。
こいつがわざわざバシレイアまで来てたのも、まーちゃんを売って金を工面しようとしてたのも、ババアが俺らの荷物を盗んだのも、俺らが来るのを待ち構えてたのも、全部フォルトゥナハートが目的だったからか。まぁ、アホのドンカカが俺達を尾行させるなんて知恵が回るとは思えねぇから、後半の2つはババアの独断だろうけど。
そう考えたら、内助の功もいいとこじゃねぇか。旦那の顔を立てるために秘密裏に行動とか、どんだけ良妻なんだよ。あのババア。
てか、それ以前に……あの宝石、マジで幸運と財を呼び込む力があったのか! どうりでギルディア大陸に来てから、やたらとレベルアップするし、金やレアアイテムがジャンジャン手に入ると思ったよ!
「……というわけで、頼む! マオの夢を叶えるためにも、その宝石を俺達に譲ってくれ! もちろんタダでとは言わねぇ! 金ならいくらでも払うし、お前らの言うことなら何でも聞く! だから、どうかっ!」
こいつがプライドをかなぐり捨ててここまで土下座するってことは、それだけ本気ってことか。
しかも、いつものように問答無用で盗めばいいのに、わざわざ金を工面したり、土下座してまで頼むってことは、この宝石だけは真っ当な手段で手に入れたかったんだ。でないと、マオに対する愛情も偽ることになると思ったから……男として、その気持ちには理解できるな。
と、思ってると、俺達が来た道からゴンやさっき気絶させたコボルト・コボといった手下共がゾロゾロと雪崩れ込み、頭を下げてきた。
「おれっちからも頼むっす!」
「あっしらからもです! 親分の一世一代の頼み、どうか聞いてやってくだせぇ!」
「あんたら! やめな! みっともない! あんたらまで頭を下げることはないんだよ!」
マオはやめるよう求めるが、ゴン達は聞く耳を持たない。
「いやだ。オレ、アネゴと親分、幸せになってほしい。アネゴの夢、叶えたい。そのためなら、何だってする」
「ゴン……」
「だから、どうか!」
そう言って子分達も、マオが必死に止めるのも聞かずに、ドンカカだけに恥をかかせまいと土下座しだした。




