スラムで育った2人
俺達が今から向かう目的地・ギルディアには、古くからスラム街が存在する。
そこには、ギルドから追放された者、多額の借金を抱えた者、その家族や子孫等が住み着いており、住民達は生きていくために残飯漁りや窃盗を繰り返している。
そのためスラムの住人は、ギルディアや他の町の人々から、日々蔑みと虐げを受け続け、泥水を啜るような毎日を送っていた。
ドンカカとマオもその1人だ。2人は生まれながらのスラム出身者で、幼い頃に両親を亡くしている。そのため境遇も歳も同じだった2人は、すぐに意気投合し、互いを支え、励まし合いながら死に物狂いで生きてきた。
特にドンカカは、女であるマオに体を売るような汚れ仕事をさせまいと、7歳の頃から自ら進んで窃盗を繰り返すようになった。
元々才能があったんだろう。最初はスリから始めたドンカカは、次第に空き巣や強盗までするようになり、大金を稼ぐようになった。
もちろん犯罪なのはわかってる。だが、たとえどんなに汚いことでも、どんなにゴミのように扱われようと、マオさえいてくれればそれでいい。それだけがドンカカの心の支えとなった。
ただ、当のマオは、守られ続けるほど弱い女ではない。肝っ玉が大きく、反骨心の強いその心には、恋心と共にある想いが芽生えていた。
(現状を打破しない限り、この野良犬みたいな生活は一向に変わりゃしない。そんなんじゃ、ドンカカはいつまで経っても、泥棒稼業から足を洗いたくても洗えなくなっちまう……だったら、あたいが変えてやる! あたいの手で、このクソみたいな運命をぶっ潰してやる!)
そう決心したマオには、1つ当てがあった。
ギルディアには闘技場があり、そこでは年に1度、武道大会が開催されている。
これに出場して優勝することができれば、手っ取り早く富と名声を得ることができるだろう。そう考えた当時16歳のマオは即行動し、晴れて武闘家になった。
だが、その道は予想以上の茨道だった。




