竜巻の双剣
……って、んなことさせっか! まーちゃんまで丸焦げになっちまうだろうが!
俺は死に物狂いで立ち上がり、【ウェーブスライサー】で焼夷弾を吹っ飛ばしつつ、消火した。
「何っ!?」
勝利を確信していたドンカカは、思わぬ反抗に面食らっているようだ。
「やれると思ってたのかよ? だとしたら、ツメが甘ぇよ。オッサン。所詮は小悪党だな」
「っ! ガキが……調子に乗ってんじゃねーっ!」
「あんた……! まったく、こうなったら合わせるしかないじゃないのさ!」
突出する旦那を援護しようと追いかける嫁。
俺みたいな若造にダメ出しされたのが、よっぽど腹が立ったようだな。冷静さの欠片もねぇ。こうなったら、俺の勝ちは決まったようなもんだ。
「まーちゃん。あいつらの動きを封じる何かをやってくれ。それで決めんぞ」
「は、はい!」
そう返事すると、まーちゃんは急いでリュックに入れていた瓶に魔物の体液と小麦粉をかき混ぜ、奴らにぶちまけた。
作ってたのは、即席だが即効性かつ強力なトリモチ。意表を突かれたドンカカとマオは、まともに浴びたことで、身動きがとれなくなる。
それを確認してから、俺は勇者の剣と脇差に風を纏い、
「ナイスアシストだ! 【モード・ウインドエッジ】……くらえっ! 【ガルーダトルネード】ォッ!」
と言って、低姿勢から斬り上げるような回転斬りをした。
高速回転されたことで、刀身に帯びていた風は爆発的に風圧を増幅して竜巻となり、トリモチから引き剥がされたドンカカとマオは、天高く打ち上げられる。
【モード・ウインドエッジ】屈指の大技をモロにくらい、宙を舞った盗っ人夫婦は、受け身もとれずに地面に叩きつけられた。
2人とも起き上がれねぇみてぇだし、これはもう形勢逆転どころか勝負ありだろ。そう思って、納刀しかけたが、
「ぐっ……うぅ……ま、まだだ……まだ、終わってねぇ……」
全身打撲と【ガルーダトルネード】の風の刃による裂傷でズタボロになっているはずのドンカカが立ち上がった。
おいおい。まだやるってのかよ。諦めの悪さも、ここまでくると恐怖すら感じるぞ。
「あ、あんた……やめな……あたいらの、負けだよ……」
「ふざけんなっ! お前はそれでいいのか!? こんな若造なんかになめられて、またあんな思いをしたいってのか!? 冗談じゃねぇ! 俺様は天下の大泥棒・ドンカカだ! こんなガキに俺様の道を邪魔されてたまるかぁっ!」
戦意喪失とダメージで戦闘不能になった嫁からの制止も、怒り狂う旦那の耳には届かない。
(こいつ、なんでそこまで……)
そう思ったのも束の間、狂戦士と化したドンカカが、斧を何度も振り回してくる。
勇は【ガルーダトルネード】を会得した。
・【ガルーダトルネード】の説明
【モード・ウインドエッジ】時のみ使用可能。敵全体に通常の2.5倍の威力の風属性斬擊ダメージを与え、一定確率で強制退場またはスタンさせる。
消費MP10。




