延々と続く階段
最初の関門は突破した。とはいえ、ここは盗賊の本拠地。どんなド汚ぇ手を使われるかわからねぇ以上、一瞬たりとも気が抜けない。
案の定、俺達は入ってすぐ、ドンカカ一味から盛大な歓迎を受けた。
壁に仕掛けられた無数の矢が飛んでくるわ、それを凌いだと思ったら、今度は奇襲&待ち伏せで連戦させられる始末。
まぁ、弱すぎて倒すのは簡単だし、取り切れないほどの金や装備も獲得できるのはいいが、こうも多いと流石に鬱陶しい。それに全員を相手にしている時間の余裕はない。
てなわけで、途中で戦闘を切り上げた俺とまーちゃんは現在、ひたすら塔の階段を駆け上がっている。今はビルでいうと、だいたい……20階ぐらい、かな?
「ぜぇぜぇ……ったく、この塔、どんだけ高ぇんだよ……ドンカカの野郎、侵入者対策のトラップを設置してるヒマがあんなら、エレベーターぐらい作っとけよな」
「えれべーたー? といいますと?」
「あぁ、俺の世界にある高い建物内を上下に移動する乗り物だよ。それがありゃ、上まで楽に行けんのに……」
あ、でも、あったところで使わねぇか。止められたり、襲撃される危険性があるから。
それに向こうだって、リスクがあるという点では俺達と同じだ。エレベーターでポンと一足飛びで来られるより、階段上らせて体力を削った方が、いざって時、倒しやすい。
(小悪党のくせに、意外と賢いじゃねぇか。それとも、あのババアの入れ知恵か?)
なんにしても、これは地味に堪える。延々と続く終わりの見えない螺旋階段に、精神と体力が徐々にやられ始めてきている。
もし、この階段が塔の建設当時からあったんなら、作った奴バカじゃねぇの?
それはそうと、さっきから下っ端や魔物の姿が見えねぇな。俺達の全力ダッシュに誰一人ついてこれなくなったのか? だとしたら好機だ。今の内に体力の回復を図ろう。
「ちょ、ちょっとまーちゃん。タイム……少し休憩しよう」
まーちゃんが同意したのを確認してから、俺は階段に腰を下ろす。
こういう時、水かお茶をガブ飲みできりゃ、それだけで至福なんだろうけど、荷物と一緒にまーちゃんの水筒も盗られた俺らに、喉を潤す手段はない。
それすら奪った奴らはやっぱ許せない。この渇きの分も含めて、必ず痛い目に遭わせてやる。ドンカカ一味への恨みから俺はそう心に誓った。




