野生児ゴン
なんて、余裕をかましていると、両手にクローを装備したゴンが、虎の魔物の走るスピードを利用して襲いかかってきた。
どうにかいなすことはできたが、今の攻撃、なんかおかしい。
「よそ見、すんな。いくぞ。キラータイガー!」
そう言ってゴンは、キラータイガーとかいう魔物と息の合った連続引っ掻き攻撃をしてきた。
その攻撃を間一髪のところで躱してく内に、奴の攻撃に感じた違和感の正体が何なのか判明した。
キラータイガーの方は普通の引っ掻きだが、ゴンのクローには毒属性が付与されている。それも、ポイズンダガーのような武器固有の毒効果じゃない。技として、何の変哲もない金属製のクローにエネルギー化した毒を纏ってるんだ。
(けど、こんなアホそうな奴に、そんな頭脳プレーができるか?)
と、内心バカにしつつ疑問に思ってると、今度は、
「なら、これ、くらえ。ビリビリだ」
と言うゴンの手から、電撃が放射された。
予想だにしない攻撃に、反応が遅れた俺は感電し、膝をつく。
だが、おかげではっきりとわかった。おそらくゴンは、ただの魔物使いじゃねぇ。モンスターから技をラーニングして行使するジョブ。RPG二大巨頭の一角で言うところの青魔道士だ。でなきゃ、ただの魔物使いがこんな芸当できるか。
(チッ、こいつは下っ端が言ってた以上の難敵だぞ)
いつから奴らの仲間になったかは知らねぇが、野生児として育ったんなら、ラーニングする機会はめちゃくちゃあったはず。となると、必然的に技の種類も……こりゃ、大技を使われる前にケリをつけないと。
「まーちゃん。準備は?」
「ちょっと待ってください……今できました!」
「おっしゃ! 俺が1発かましたら、それを敵陣のド真ん中にぶん投げろ。属性は?」
「電気です!」
「OK! 【モード・アイスブランド】!」
そう言って俺が、勇者の剣に凍気を纏ってるのを見て、野生の勘が働いたんだろう。ゴンがキラータイガーと共に突っ込んでくる。
そうこねぇとな。お前をついでの雑魚みたいにやれるとは思ってねぇよ。だから強者と見込んで、お前中心に狙わせてもらう。
「【アイスワールド】!」
俺はそう言いながら、勇者の剣を地面に突き刺した。すると、俺の1歩先から塔の入り口手前までの広範囲にかけて、全てが凍結し、キラータイガーや雑魚の身動きがとれなくなった。
無論、これでゴンが諦めるとは思っていない。
「あ! キラータイガー! お前らよくも!」
キラータイガーが動けないとわかると、ゴンは飛び降り、野獣のように飛びかかってきた。
けど、それも計算の内。すかさずまーちゃんの手から、調合したアイテムを投げ放たれ、ゴンの背後で炸裂。放射状の電気となって、ゴンや雑兵共に命中し、痺れさせる。
その名もショックボルト。爆弾の素材と、電気属性の魔物から採取することができる発電効果のある結晶・雷結晶を混ぜ合わせることによってできる麻痺効果高めの電気爆弾だ。
「ビ、ビリビリ……オレ、動けない……」
「勝負ありだ。ゴン。悪ぃけど通してもらうぜ」
「く、くそー……ごめん。アネゴ……」
俺とまーちゃんは、悔しさを滲ませるゴンや、凍結や麻痺によって動けない雑兵を横目に見ながら、堂々と正面からドンカカのアジトに侵入した…………
勇は【モード・アイスブランド】と【アイスワールド】を会得した。
・【アイスワールド】の説明
【モード・アイスブランド】時のみ使用可能。敵全体に通常の1.3倍の威力の氷属性ダメージを与え、凍結させる。
消費MP5




