ドンカカの塔
目的の塔に到着した俺とまーちゃん。
その行く手を遮るように、ボサボサの髪をした15歳ぐらいの野生児みたいなボウズや、下っ端連中、それとあのババアが入り口付近で待ち構えていた。
「待ってたよ。ボウヤ。やっぱり来たね」
「当然だろ。こっちは大事な荷物を、てめぇらに奪われたんだから」
「大事な荷物? あぁ、合成素材とかがしこたま入ったリュックと、紙切れと筆記用具しか入ってなかった鞄のことかい」
中身を知ってる? てことは……
「おいババア。てめぇまさか……」
「安心しな。まだ捨てちゃいないよ。一応収穫したブツだからね。ちゃんと宝物庫に保管してあるよ。しっかし、あんな紙切れがそんなに大事なのかい? 一通り目を通したけど、あたいにはただのゴミにしか見えなかったよ」
「悪かったな。あんたには何の使い道のないただの紙でも、俺にとっては、夢を叶えるために必要不可欠な大切な物なんだよ」
それを聞いたからなのか、ババアは少しだけ真剣な顔つきになり、
「夢、ね……ガキがいっちょ前なこと言ってくれんじゃないのさ」
と、呟いた。
「あ?」
「そんなに大事なら、死に物狂いで見つけるこった。ただ、見ての通り、うちの連中は揃いも揃って気が短くてねぇ、あんまりグズグズしてると、あんたの夢がただの塵になっちまうよ」
「んなことしてみろ。てめぇら、ただじゃ済まさねぇからな」
「ははは! 威勢だけはいいようだね。ま、せいぜい頑張るこった」
そう言うと、ババアは俺とまーちゃんに背を向けて、
「ゴン。構うことはない。存分に暴れな」
と、発破をかけて塔の中へと入っていった。
「って、逃がすかっ!」
俺はそう言って追いかけようとしたが、その行く手を、サーベルタイガーのような魔物に乗った例の野生児・ゴンが立ち塞がる。
「行かせない。行きたきゃ、オレと勝負しろ」
片言でそう言うゴンの目には、溢れんばかりの闘争心が宿っている。その目はさながら、縄張りを守ろうとする獣のようだった。
「てめぇ……」
「へへっ、勇者さんよ。ガキだと思って甘く見んなよ。ゴンは生まれてすぐビースト平原に捨てられ、コボルトに育てられた生粋の野生児! 一度戦闘となれば、心を通わせた魔物と一緒になって獲物を食い散らかすぜ!」
ご丁寧に説明どうも。
にしても、モノホンの野生児とはね。魔物と心を通わせることができるってことは、天性の魔物使いでもあるってことか。
「どうします? 勇さん」
「先手必勝だ。とっとと蹴散らして、突入すんぞ。そのためにも……頼んだ。まーちゃん」
「わかりました」
そう言ってまーちゃんは、リュックがないという状況下の中、限られた素材だけを使って調合を始めた。
確かに量こそ少ないが、ここの素材は全体的に質がいい。今までよりも強力なアイテムが作れることは、間違いないだろう。
その間、まーちゃんが調合に専念できるようにするのが俺の役目だ。
俺が敵を引きつけ、峰打ちでのしていく。悪党とはいえ人間相手だ。殺生をするつもりは毛頭ない。何度もやってる戦法だし、これぐらいどうってことないだろう。




