精霊の主 度々
ということがあり、現在に至る。
「クソ。あのコソ泥共……どこ行きやがった?」
「完全に見失ってしまいましたね」
「あぁ」
そう言いながら俺は、襲いかかってくるコボルトを一撃で仕留めていく。これでもう20体目になるだろうか。
ここギルディア大陸は、首都・ギルディアを含め、ギルドが統治する大小様々な自治都市で構成されたいわば合衆国であり、町の外にはバシレイア大陸とは比べものにならないほど強い魔物がウヨウヨ生息している。
俺達があいつらを追いかけて、足を踏み入れた平原、通称・ビースト平原もそんな生息地の1つだ。
どうやらここは、獣型の魔物の宝庫らしく、最初はいきなりということもあり、倒すのに苦労したが、何体も相手にして、新しい魔法剣を会得していく内に、さっきのように難なく撃退できるようになっていた。
(そんだけ経験値が多く貰えるってことか)
金もこれまでの比じゃないぐらいガッポガッポ稼げるし、まーちゃんいわく、バシレイア大陸より数倍いい調合素材とかといったアイテムも手に入る。
運が良けりゃ、コボルトやオークあたりから装備を奪うことだって夢じゃない。現にまーちゃんは、奴らが使っていた装備や、鳥型の魔物の羽と履いてたサンダルを組み合わせたサンダル、魔鳥のサンダルを装備してるし。
とまぁ、本来なら手放しで喜びたいところなんだが、それらが入る鞄やリュックが今、手元にない。よって、金以外で使えなさそうなアイテムは、泣く泣く捨てていってしまってる。
とはいえこの調子でいけば、ロッティとの差も一気に縮められるかもしれない。俺はこの大陸に来てから、確かな手応えを感じていた。
あとはこれでドンカカのアジトの場所さえわかれば……そう思っていると、空の彼方から、
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン」
というどっかで聞いたことのあるセリフと共に、エルフィニアが姿を現した。
巨大化して、某ドラマの仏のように雲の切れ間から顔を見せてるってことは、また幻のようだ。
「別に呼んでねぇよ」
「むぅ……相変わらずノリが悪い方ですね。歴代勇者の中でも最悪です」
「うっせぇ」
「あの、勇さん。この方は?」
あ、そっか。まーちゃんとエルフィニアが顔を合わせるのは、これが初めてだったんだ。
「あいつか? あいつはメタ発言がヒドいだけのただの精霊だ」
「ちゃんと紹介してください! 私にはエルフィニアという歴とした名前があるんですよ?」
「エルフィニアって、あの!?」
驚いた様子でそう言うと、まーちゃんは慌てて跪き、頭を垂れた。
「精霊の主様とは露知らず、失礼しました! わ、私は商人の、マーテリアテナ=ヘルメサージュ・ドラグホースと申します!」
「ドラグホース……なるほど。なかなかできたお嬢さんですね。かまいません。頭をお上げなさい」
そう言ったあと、俺に向かってドヤ顔をするエルフィニアからは、優越感が滲み出ていた。
精霊の主の面目躍如って言いたいところなんだろうが、そのドヤ顔のせいで威厳も全部パーってことを、こいつはわかってんのかね?
「で、結局何しに来たんだ?」
「もちろん、あなた達の旅のサポートです。ドンカカという盗賊のアジトがどこにあるのか、それを教えに来ました」
俺の心の声を聞いてたってわけか。なんにしてもありがてぇ話だ。
「ドンカカ一味は、ここから北に1時間ほど歩いたところにある古びた塔を根城にしています。内部には彼の部下だけでなく、魔物使いによって手懐けられた魔物も多数います。ご注意を」
「わかった。気をつけて行くよ」
「そうしてください。他に聞きたいことは?」
そう聞かれて俺は『ない』と答えかけた。
勇とまーちゃんのレベルが30になった。
勇は光と闇以外の単属性魔法剣を覚えた。
・現在の所持品(ほとんどがビースト平原での戦利品)
薬草3束
雷結晶2個
オイル2瓶分
硝石2個
聖龍草1株
所持金合計……白金貨30枚と金貨8枚分




