騙された!
その先には……見覚えのあるコソ泥共が、まーちゃんのリュックを神輿のように担いで持ち去ろうとする姿が。
「あ! てめぇらっ! 何やってんだ! まーちゃんのリュックを返……っ!」
そう怒鳴りながら、俺は拳を握り締め、腕を振り上げる。
ん? 拳を握り締め? なんで鞄を持ってんのにグーにできるんだ? てか、それ以前に、やけに手が軽いし、物を持ってるって感触も……
まさか……そう思い、問題の手の方に目を向けると、そこにあるはずの鞄が無くなっていた。
「え!? あれ!? なんで!?」
鞄が点線で表記されるような事態に、軽くパニックを起こし、辺りを見回していると、マオさんが俺の鞄を持って、悠然と歩いていた。
「悪いね。ボウヤ。貰ってくよ」
「あんた!」
そう。マオさんもあいつらの仲間だったんだ。
「野郎共。ずらかるよ」
「へい! 姐御!」
「姐御……って、まさか!」
「お察しの通りだよ。あの人が、ドンカカが世話んなったね」
しかも、よりにもよって、あの天下の大泥棒を自称する変態野郎・ドンカカの嫁かよ。あんな醜男が、こんな色っぽい女と結婚してるなんて……なんか腹立つ。
「俺達を騙したのか!」
「結果的にはそうだが、全部が全部ってわけじゃないよ。武闘家なのは本当だし、あんたのことをいい男って褒めたのも本心からだよ」
「ほ、ほんとっすか?」
「あぁ。その悪人面、見てて惚れ惚れするよ。どうだい? あんた。うちに来て泥棒稼業を始めないかい? うちに来たら、その間抜けさを叩き直してあげるよ」
結局そういうことかよ! 喜んで損したわ!
「誰がなるかっ!」
「そうかい。そりゃ残念。なら、ここでお別れだね。じゃ、あばよボウヤ達!」
それだけ言うと、あの女は下っ端共を連れて、スタコラサッサと逃げていった。
残ったのは、装備だけとなってしまった俺とまーちゃん。
虚しい風が、呆然とする俺達の間を吹き抜け、フツフツと沸き上がる怒りを煽っていく。
「あ、あ……あんの、クソババアーッ!」
「どうしましょう勇さん!」
「どうもこうもねぇ! 予定変更だっ! ギルディアに行く前に、あいつらと決着つけんぞ!」
そう息巻いた俺は、まーちゃんを連れてババア共を追いかけた。
前回といい、今回といい、もう許せねぇ! 人様に迷惑かけたらどうなるか、あいつらにとことん思い知らせてやるっ!
リュックと鞄を失った。




