見損なわれるぐらいがちょうどいい
「いい仲間を持ったね。勇君」
決着がついたことを見届けたロッティが、俺達の話に入ってくる。その顔には先程のような冷たさや険しさといったものは一片もなく、菩薩のように穏やかだった。
「仲間から絶大な信頼を寄せられる。それも勇者に必要な素質だとボクは思うよ」
そっか。俺にもまだあったんだ……勇者としての素質が。てことは、こんな俺でも、まだ勇者って名乗っていいんだ。
「その資質を蔑ろにして、仲を引き裂くのは流石に無粋か……わかった。今回のところは彼女に免じて保留にするよ」
ロッティが出した結論に、プリスとケンは仕方ないと思いつつも安堵の表情を浮かべ、俺とまーちゃんとメイ爺は驚いた。
「いいのか!?」
「うん。本当はボクだって、その剣は喉から手が出るほど欲しい。だけど、自力で魔法剣を使えるボクより、君が持ってた方がいいみたい。だから、装備一式が揃うまでは君に預けておくよ。全部揃ったら、どちらが所有者に相応しいか、お互いの全てを賭けて勝負しよう」
ロッティからの寛大な処置とライバル宣言。それを受け、俺の胸が熱くなる。
「ロッティ……」
「言っておくけど、別に君を認めたわけじゃないから。なんなら君のことを、心底見損なってる。勇気と無謀を履き違え、自分勝手な理由で勇者の責務を放棄して、仲間の心を傷つけた今の君を、勇者とは認められない。そういうわけだから、次会った時に勇者の資格が無いとわかったら、その時は、どれだけその子が『勇者だ』って主張しても、その剣を渡して貰うから。それを肝に銘じておいて」
「あぁ、わかってる。これ以上失望させるつもりはねぇ。認めつつも、見損なわれる。商売敵とは、それぐらいの距離感の方がちょうどいいだろ」
「ふっ、調子が戻ってきたね。そうこないと」
嬉しそうな顔をしてそう言うと、ロッティは仲間達の方を向き、
「みんなもそれでいい?」
と、確認をとった。
「うーむ……しかしじゃなぁ……」
「いいじゃねぇか。メイ爺」
一緒になって喜んでたはずのケンにそう言われ、メイ爺は不思議そうな顔をする。
「さっきまでの腑抜けた面に比べりゃ、こっちの方が100倍マシだ。こいつはこうあるべきなんだよ。でねぇと、歯応えがねぇ」
「犬だけにか? そんなに歯応えがほしけりゃ、干し肉か骨でも噛んでろ」
「うっせぇ。負け犬寸前のお前にだけは言われたかねぇ。ともかく、今度あんなシケた面見せてみろ。その顔面ごと叩っ切ってやるからな」
「上等だ。返り討ちにしてやる」
そう言い、俺とケン達3人は火花を散らしていた傍で、まーちゃんとプリスだけは、仲良く平和的に再会を誓っていた。
「じゃあ、そろそろ行こっか。勇君。それと、マーテリアテナ。またね」
「おう。またな。次、会った時は負けねぇぞ」
「期待してるよ。もっとも、ボクも負けないけどね」
そう言って、ロッティは荷物から魔法陣が描かれた紙を取り出し、一心に念じた。
すると、反応した魔法陣から発せられた光にロッティ達4人が包まれ、光と共にその場から消え失せていた。
「あいつらは?」
「転移魔法【ワープ】の魔法陣が描かれた紙で先に行かれたようです。今頃、ギルディア大陸の首都・ギルディアにいるかと」
(あれが転移魔法か……今はあれも、他の魔法剣も使えないけど、いつか必ず会得してみせる。1人の男としてではなく、勇者として……)
心機一転、心を入れ替えた俺は、勇者として2度と誰も悲しませず、失望もさせまいと、心に固く誓った……
マリアロッテ・ジャンダルク(Lv36)のステータス
HP……86
MP……50
物理攻撃力……120(装備による加算あり)
物理防御力……115(同上)
魔法攻撃力……90(同上)
魔法防御力……100(同上)
素早さ……93(同上)
命中……77
運……57
・装備
ミスリルソード(物理攻撃力30 魔法攻撃力5 闇属性モンスターやゾンビ系の敵に特効)
光の盾(物理防御力20 魔法防御力20 光及び回復魔法以外の魔法を一定確率で反射)
勇者の服〈オーダーメイド〉(物理防御力20 魔法防御力5)
革のロンググローブ(物理防御力3)
疾風のブーツ(物理防御力2 素早さ15)
・術……【ヒール】 【ワープ】 【ファイア】
・特技……【モード・フレイムタン】 【フレイムスラッシュ】
【モード・アクアセイバー】
【モード・ガイアソード】
【モード・ウインドエッジ】
【モード・アイスブランド】
【モード・サンダーブレード】 【トールサンダー】
【モード・エクスカリバー】




