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まーちゃんとクエスト!!  作者: 天馬光
第一章 バシレイア
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海魔 深海より来たる

 って、一抹の不安を抱いていると、それを吹き飛ばすかのようの重みが、竿にズシンと伝わった。

 きた。ヒットだ! しかも、この引き……大物に違いねぇ!

 鯵や秋刀魚なら干物にしてぇところだが、この引きからして、小物じゃねぇ。てことは鯛か? それとも鮪か?

 いずれにしても、ここでバレちまったら意味がない。俺は逸る気持ちを押さえながらゆっくりと竿を引いていく。


 いい調子いい調子。そう思って引き寄せていると、急に強い力で向こうからグンと糸を引っ張られ、そのまま海の底へと竿が引き摺り込まれてしまった。

 折角のチャンスを逃した上に、釣竿まで持って行かれる。散々すぎる結果に俺はガックリと肩を落とす。


 が、この時、既にロッティが慰めてくれるヒマも、ましてや落ち込んでいるヒマもなかった。

 直後に何かが船体を襲い、船を大きく揺らしたからだ。


 断っておくが、大時化だからこうなってるわけじゃない。荒天どころか、天気も波も穏やかで、絶好の釣り日和だ。

 ということは、原因は別にある。それはつまり、獲物が、いや、敵が襲ってきたからだ。


 ザパーンッ!


 そうら、おいでなすったぜ。触手みてぇに蠢く毒々しい紫色の足が12本も。

 その姿に、船員は思わず叫んだ。


「ク、クラーケンだーっ!」

 と。


 その単語に、船上にいた人々は一斉に逃げ惑い、操舵手はクラーケンから離れようと全力で舵を切る。しかし、クラーケンの吸盤のついた足が絡みついて、離そうとしない。

 このままでは、船諸共海の藻屑になりかねないだろう。となればやはり、こいつを倒す他、道がないようだ。ったく、我ながらとんでもねぇ獲物を釣り上げちまったぜ。


 そう思い、臨戦態勢を整える俺の元に、騒ぎを聞きつけたまーちゃんが駆けつけた。


「勇者様! ご無事ですか!?」


「あぁ。まだエンカウントしたばっかだから、バトルにすらなってねぇよ」


「そうですか。間に合ってよかったです」

 安心したまーちゃんは、早速俺を援護するためのアイテムを調合し始めた。


「ねぇ、マーテリアテナ。プリス達を見かけなかった?」


「プリスさん達なら、途中で会って、通路の方に向かいました。あっちも襲撃されているみたいなので」

 通路って、両端にあんだろ。まさか、左右に分かれて戦ってるっていうのか? いくら俺より歴長いからって、そいつは無謀だろ。


「そっか……じゃあ、ボクは仲間達を助けに行ってくる。そっちは任せたよ」


「おう。任せろ」

 そう言いって、お互いの健闘を祈ったあと、ロッティは仲間達の元に急行し、俺は自らを鼓舞した。


「……さーてと、んじゃやるか。まーちゃん準備しろ。今日の晩飯は焼きイカか姿造りだ!」


「え!? あれを食べるんですか!?」


「食えるんならな。それに俺、烏賊好きだし、クラーケンがどんな味すんのかもちょっと興味がある」


「やめた方がいいのでは……」

 軽口を真に受けたまーちゃんが難色を示すが、そんなことを言ってる場合じゃない。俺達をまとめて叩き潰そうと、奴は足を大きく振り上げる。


「っと、話は後だ。いくぜ!」

 俺は一方的に話を切り上げると、クラーケンの足を避け、戦闘を開始した。

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