理想的な勇者パーティ
もっとも、俺以上に男共の方が納得いってねぇようだけど。
「こいつが勇者!? んなバカな!」
「まったくじゃ。こんな犯罪者面の勇者がいていいわけがない。きっとその剣もレプリカに違いない。そうじゃろう? このロリコンの偽勇者め!」
こいつら、さっきからいい加減にしろよ。よーし。そこまで言うなら、証明してやろうじゃねぇか。
俺は勇者だと証明するために、野郎共に勇者の剣を持たせてみた。案の定、奴らは持てずに落としてしまう。
正真正銘本物の勇者の剣。それをようやく理解した奴らは、俺が勇者だという事実に愕然とする。
「ごめんね。2人共、思い込みが激しくて」
「まぁそれはいいんだけど……挨拶もなしに、いきなり斬りかかってきたから、せめて詫びの言葉ぐらい言ってほしいんだけど」
「え!? そうなの!? それはごめん。じゃあ、きちんと紹介するね。こっちは、ボクの幼馴染みで戦士のケン・ファープ。ほら、ケン。彼に言うことは?」
ロッティにせっつかされたケンは、ムスッとしながらも、
「……ケンだ。その、さっきは悪かったな」
と言って、軽く頭を下げて詫びてくれた。
「おっほん。わしは元皇室付き魔術師のメイアー・メルジ=マージ。仲間達からは、親しみを込めてメイ爺と呼ばれておる。まぁ。色々あったが、よろしくの」
「はぁ……」
って、おい、待て。ジジイ。『色々あった』で濁すなよ。詫びの言葉は? 若い奴らの方が、よっぽど人間できてんぞ? ったく、この世界のジジイはみんなこうなのかよ。
「そして、彼女は見習いだけど16歳で神官をしている幼馴染みのプリス・ハイネス」
「先程はありがとうございました。おかげでマリア達と合流できました」
「いや、礼には及ばねぇよ。結局、なんの力にもなれなかったし」
そう言った後、俺も自分とまーちゃんの紹介をした。こういう時、名刺とかありゃ手っ取り早いんだろうけど、無職だった俺にそんな物はないし、ラグナヴェルトに名刺なんて代物は存在しない。
てか、プリスの奴、今、16歳つったか? それにしちゃ少し幼く見えるな。
まーちゃんもそうだが、この世界の女子はどいつもこいつも実年齢より低く見える気がする。だとしたら、ロッティも……
「てめぇ、プリスだけじゃなく、ロッティまでそんな目で見やがって! やっぱ、そういう奴か!」
そう怒鳴りつけてくるケンを、ロッティとプリスがまた注意する。
ただ黙って、交互に見てただけだってのに、言いがかりもいいとこだ。まったく。俺は女を見んなとでも言いてぇのか? 勘違い戦士。
「ごめんね。このままじゃ、ケンかメイ爺が、また君に喧嘩を売りそうだから、ボクらはこの辺で失礼させてもらうよ」
「おう。次会う時までには、そいつにリードでも繋いどけよ」
「誰が犬だ! もう我慢なんねぇ。ロッティ! 今すぐあいつを叩っ斬らせろ!」
「そういうところがダメだって言ってるでしょ! ほら、行くよ」
そう言って、ケンの首根っこを持って引き摺っていくロッティを先頭に、プリス達は去って行った。
その去りゆく姿を見て、俺は思った。
(いや、どっからどう見ても、犬だろ。しかも、躾がなってないタイプの)
と。
にしても、戦士に魔法使いに僧侶か……王道勇者には、王道の仲間が集まるってことか。しかも、仲も良さそうだし。
まーちゃんには悪いけど、あぁいう理想のパーティを作りたかったなぁ。俺も………………




