それぞれの道
じゃあ、そんな親父さんのことを知り、長年続いた蟠りが消えた今、あいつは何を考えているんだろう?
そう思うと、ちょっと聞いてみたくなった。
「そっか……なぁ、お前はこれからどうすんだ? 親父さんの遺志を継いで、次期村長になんのか? そうじゃねぇなら、いっそ仲間にならねぇか? お前なら歓迎すっぞ」
そう聞かれて、ラーサーは少し黙ってから、
「……お気持ちは嬉しいのですが、大口を叩いておいて足を引っ張ってしまった僕では、同行したところで足手まといになるでしょう。なので、僕は王都に戻ろうかと」
と、予想外の答えを返した。
これには俺とまーちゃんだけじゃなく、メールさん達ホリオ村のみんなも少し驚いた。
「どうしてですか? もしかしてまだ蟠りが?」
「そんなんじゃない。確かに、入隊を志願した時はそう思っていた。あんな父親の尻拭いなど、誰がするものかと。だが、今は違う。今回の一件で、僕が思っている以上に国は腐敗していた。このままでは、バシレイアは魔王の手にかかる前に、自滅することになるだろう。それは流石に困る。こんな国でも、僕が生まれ育った祖国だから。だから僕は、愛するこの国を守りつつ、政治に介入して、内側から変えるために騎士団長になろうと思っているんだ」
そういうことか。ラーサーにしては思い切ったいい夢じゃねぇか。
「なるほどな……でも、ほんとにいいんだな? あとで『仲間にしてください』って泣きついても知らねぇぞ?」
「大丈夫です。そんなこと、口が裂けても言いませんから」
「けっ、相も変わらず生意気な奴。けどまぁ、その方がお前らしいか」
そう言って俺は、頭を掻いてから照れくさそうに、手を差し出し、
「まぁ、その、なんだ……頑張れよな」
「えぇ。あなたも」
と言ったラーサーと握手をした。
ラグナヴェルトに来てからこいつとは色々あったが、今回のことで、少しは距離を縮めることができたかな?
「よし。じゃあ行くか! まーちゃん」
「はい」
「んじゃ、メールさん達。またいつの日か!」
「えぇ。お達者で」
「さようなら勇さん。それと、今まで無礼なことを言ってしまって申し訳ありません! また会いましょう!」
「おう! そん時はお互い、出世してような。じゃあなー!」
俺達はそう言いながら手を振り、ホリオ村を後にした。
この別れは今生の別れじゃない。互いに進むべき道を進み、その先で再会する。その誓いのための別れだと、俺は信じてる………………




