親の心子知らず
さてと、後は聖龍草を探すだけ。なんだが、辺りを見渡しても、それらしい葉が一向に見当たらない。
やってた攻撃が攻撃なだけに、全滅させてしまったかもしれない。不安が過り、責任を感じた俺は、目を皿のようにして、懸命に探した。
その甲斐あってか、滝の裏で薄らと白く光るものが見つけることができた。
目を凝らしながら、落ちてくる水を掻き分けて近付くと、そこには、白骨死体の陰でひっそりと隠れて生えている白い龍麟のような葉が。間違いない聖龍草だ。
それも、1つや2つじゃない。骨と滝の水に遮られていて最初は見えづらかったが、滝の裏の洞穴の中で、山ほど群生している。
(こんなにたくさん……! 魔物に食われることもなく、いったいなんで……?)
もしかして、魔物は聖龍草が苦手なのか? そう思いつつ、聖龍草周辺を詳しく調べていた俺は、白骨死体が枯れた聖龍草と一緒に握り締めていたロケットの中身を見たことで、その真相に気付いた。
「…………親の心子知らずとは、よく言ったもんだな」
「は?」
そう聞き返すラーサーに、俺はそのロケットを投げ渡した。
そこにあったのは、1枚の写真。メールさんと幼いラーサーが、陽気そうなオッサンと仲睦まじく映っている家族写真。
つまり、このロケットの持ち主は……
「……まさか、父、ですか?」
「あぁ、多分な。白骨化してるから、判別はできねぇけど」
そう。ラーサーの父・アスロットだった。
「ですが、何故……?」
「何故って、決まってんじゃねぇか。親父さんは責任を放棄して逃げたんじゃねぇ。寧ろその逆。誰よりも責任を感じてたから、ここまで来たんだ。自分が引き起こしてた事態を、自分の手で終息させるために、な」
それを聞いたラーサーは、信じられないといった様子だった。
「けど、ヒドラ病を患った状態じゃ、どんな奴でもまともに戦えるわけがねぇ。おそらく、あいつか、その前に戦った魔物かなんかに致命傷を負わされたってところだろう……それでも、きっとお前か誰かが、村を救ってくれると信じてたんだ。でなきゃ、洞穴にあった聖龍草を守るように、こんなところでくたばったりしねぇよ。ご大層に聖龍草を握り締めてるしな」
俺がそう言い終えると、ラーサーは地面に手をつき、大粒の涙を流しながら、
「おっ父……おっ父……おっ父…………!」
と、言って、嗚咽を漏らしながら泣いた。長い間続いた誤解が解けて、親父さんの気持ちを理解したからだろう。
念の為断っとくが、さっきの言葉はあくまで俺の推測だ。俺自身、会ったこともねぇオッサンの心情なんか、知る由もねぇ。
でも、願わくばそうだと信じたい。父親ってのは、きっとそういう生き物だから。だよな? 親父…………
勇、まーちゃん、ラーサーのレベルが1上がった。




